売り上げのかなめ! おいしいトマトをそろえる【直売所プロフェッショナル#05】

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売り上げのかなめ! おいしいトマトをそろえる【直売所プロフェッショナル#05】

連載企画:直売所プロフェッショナル

売り上げのかなめ! おいしいトマトをそろえる【直売所プロフェッショナル#05】
最終更新日:2019年12月11日

直売所を複数展開する民間ベンチャーの創業者たちが、直売所運営のイロハについて事例をまじえて紹介していく連載。第5回は、野菜の国内産出額トップ、野菜売り場の主役であり売り上げのかなめであるトマトについて。

樹上完熟が魅力、直売所に優位性あり。

流通経路が極端に短い直売所は、樹上で完熟させてから収穫しても傷みにくいので、スーパーマーケットなどと比べると、相対的においしいトマトを販売しやすい業態。樹上でしっかり熟させてから収穫したトマトは、甘み・うまみがたっぷり。早もぎのトマトでは味わえないおいしさを楽しめます。

また、直売所の売上貢献度を考えてもトマトはとても重要。当社の直売所では年間を通じての野菜売上が一番であり、ミニトマトやミディトマトを含めると全体の15%以上を占める主力野菜です。また、食味の違いがわかりやすいこともあり、気に入ったらリピートすることが多いのもトマトの特徴。食味の良いトマトは、多少足をのばしても、価格が高くてもリピートしたいと思うお客様が多いのです。

トマトの二極化、ミニトマト・ミディトマトのニーズ拡大

このように、直売所においても最重要野菜のトマトですが、私たちの肌感覚では、年々競争が激しくなり、コモディティー化(マーケティング用語で、市場参入時には高付加価値を持っていた商品の価値が低下し、一般的な商品になること)が進んでいる野菜でもあります。大玉トマトは需要が伸び悩んでいるにもかかわらず流通量は減っておらず、ミニトマトやミディトマトはフルーツトマトと呼ばれるような高糖度トマトの出回りが年々増えているように思います。トマトは企業などが参入する際にも、施設栽培で反収(約10アール当たりの収穫高)が高いこともあり真っ先に検討にあがる作物。結果として、コモディティー化により低価格で販売せざるを得ない一般的なトマトと、食味が明確に差別化されている比較的高単価なトマトの二極化が進んでいます。

直売所としては、食味で差別化できているトマトやミニトマトのバリエーションをそろえることが大事になります。そうしなければ、低価格でしかお客様を呼べないうえ、高くてもおいしいトマトを求めるお客様を集客することができないためです。
また、世帯人数が減っていることもあり、大玉トマトよりもミニトマトやミディトマトへのニーズが高まっているという面もありそうです。最近、店頭でお客様から「大きいトマトは食べきれない」という声を聞くことが増えました。

特徴のあるトマトをわかりやすく販売する

それでは、食味を差別化したトマトを店頭に並べるためにはどうすれば良いか。直売所は樹上で完熟させてとったトマトを販売できるのは間違いない強みなので、まずそれを徹底することが前提です。

そのうえで、特徴のハッキリしているトマトを生産者に栽培してもらうことが重要。圧倒的に人気なのは甘いトマトです。店頭でも、まずお客様に聞かれるのが、「どのトマトが甘いの?」ということ。大玉トマトで糖度を高めるのはもちろん、糖度の高いミニトマトも揃える必要があります。糖度の高いトマトは、栽培方法・品種選定など、そのための栽培技術がないと難しいので、そのような出荷者がいなければ、栽培方法から相談をする必要もあると思います。同時に、最近では出回りにくい露地トマトやカラフルなトマト、加熱用のトマトなど、特徴のあるものであれば、一定のニーズがあるものも多いです。

しかし、トマトの味は見た目ではわからないので、特徴的なものほどお客様が購入する際にどのような味かを伝える必要があります。そして、その点では、スーパーなどとくらべると直売所の強みが発揮しやすいはず。なぜなら、生産者が直接野菜を持ち込む直売所においては、野菜の情報を得やすいためです。例えば、スーパーで並んでいるトマトが露地ものかハウスものかの記載があることはほとんどありませんが、直売所では農家さんに聞いて簡単なPOPを用意するだけで、お客様には露地トマトがどれかが簡単に伝えられます。

甘いトマトはこれ、トマトソースを作るならこれ、とPOPを用意したりスタッフが接客でお客様に伝えることで、本当に求められているトマトを購入していただくことができます。好みのトマトを購入して気に入れば、リピートしやすい野菜であることは前述した通り。最初の出会いが大事だからこそ、特徴を理解してトマトを選んでもらいたいのです。

常に売り場にトマトを並べるなら、お客様に選ばれるものを

トマトがコモディティー化していると書きましたが、それは裏を返せばどこにでも売っているということ。スーパーには一年中並んでいます。一方で、直売所は生産者が同じ地域にしかいないため、一年を通じて地元産のトマトを並べるのはかなり難しいです。当社の直売所でも、8月中旬~9月いっぱいくらいは、地元のトマトがほぼなくなります。地元でトマトをとれない際に、ほかの地域から仕入れてでもトマトを販売するかは判断が必要。地元でとれない時期は売り場からトマトが消えるというのも、直売所としては地元野菜にこだわっているというメッセージとなります。

一方で、多くの直売所では、地元以外の地域からトマトを仕入れています。その際に重要なのは、地元産でなくてもお客様に選ばれるトマトをそろえること。トマトは食味がわかりやすく印象にも残りやすいので、地元以外から仕入れる場合にもこだわりを持って仕入れたい野菜です。もちろん、すべての野菜でそうあるべきなのですが、トマトはとりわけその点が重要。当社の店舗では、夏から秋のトマトがない時期においては、岐阜や山梨の信頼できる農家さんから直接仕入れさせていただいており、ファンも多い野菜となっています。

生産者にとってのトマトは……

最後に、生産者視点でトマトについて考えてみます。二極化が進むトマト、収益源として取り組むのであれば、ある程度低価格でも成り立つ大量生産か、高価格でもお客様に支持される食味に特徴のあるトマトを栽培するかを明確にする必要があります。
そして、直売所に出す生産者の多くは大量生産をすることはないと思いますので、食味に特徴のあるトマトを栽培して差別化することが重要です。流通システムがどんどん進化し、高糖度トマトが出回り、施設栽培による新規参入もある厳しい市場であり、トマトで勝負をするには覚悟が必要。樹上完熟で提供できるというアドバンテージを最大限生かし、自分が本当においしいと思えるトマトを栽培する。そして、その味をお客様にしっかり伝えるためにPOPやパッケージなども工夫し、自身のトマトのブランドを確立していく。王道ではありますが、一つ一つ地道に取り組むことが重要です。ファンが付けばリピートしてもらえる野菜なので、直売所内でブランドが確立できれば、価格競争に陥ることなく安定的に売れる状況も作れます。簡単ではないですが、直売所にとっても生産者にとっても、価格でなく食味で選ばれるトマトを栽培し、販売することが、競争力を高める重要なポイントとなるのです。

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