大根の栽培歴
大根の発芽適温は15〜30度と幅広いですが、生育適温は15〜20度と冷涼な気候を好みます。
春まきは花芽がついたりスが入ったり(※)、病害虫の被害にあうリスクも高いので、秋まきがおすすめです。
秋まきでは早すぎると高温により発芽率が悪くなる上に、病害虫が多い時期に当たります。逆に遅すぎると根の太りが悪くなるため、9月上中旬がもっとも種まきしやすいでしょう。秋まき大根の栽培歴は以下のようになります。
このほか、大根には非常にたくさんの品種があるので、必ず播種(はしゅ)時期に合わせた品種を選ぶようにしてください。
※ 中に空洞ができてしまい、食味が落ちること。
大根の土づくり
「大きくて真っすぐな大根づくり」で一番重要なのが、土づくりです。大根は土の中にできる野菜なので、土壌の状態に大きく出来が左右されます。種まき後の管理ももちろん大事ではありますが、肝心の土がお粗末では救いようがありません。ポイントを押さえてしっかり畑を整えておきましょう。
ポイント1 深く軟らかく耕す
とにかく、よく耕しておくことが重要です。
まず播種2週間~1カ月前までに苦土石灰と完熟堆肥(たいひ)を施し、深く耕します。土が硬いと大根が太りきれず細くなってしまったり、形がいびつになったりするため、注意が必要です。少なくとも深さ30センチくらいまでは軟らかく耕すようにします。堆肥は土を軟らかくするのに効果的です。ホームセンターで購入する場合は、「完熟堆肥」「施してからすぐに植え付けができます」などと書かれたものを使用しましょう。前作に十分に堆肥を入れている場合は追加で入れなくても大丈夫です。
1週間経過したら化成肥料を100グラム投入してよく混ぜ、畝を形成します。
ポイント2 障害物を取り除く
大根の根は土のかたまりや、石、肥料、未熟堆肥などに触れると、そこから曲がったり股割れになったりします。障害物はできる限り取り除きましょう。土の塊はレーキなどを使って砕きます。
作付け1週間前に元肥として化学肥料を入れますが、このときもよく耕すようにしてください。石があまりに多過ぎて取り除けない、というような畑では、大根を諦めてカブを作るのがおすすめです。カブは土の中に潜らず土の表面に出てくるので、畝表面の土さえきれいにしておけば大丈夫です。
ポイント3 水はけをよくする
大根には通気性と保水性のよい畑が必要です。土が過湿になると、湿害や軟腐病による腐敗が多くなります。一般的な畑地では畝の高さは10センチ程度でいいですが、水田のような排水性の悪い場所で育てる場合は、高さ20センチ以上の高畝とし、排水を促しましょう。
大根の種まき(播種)
大根の種は必ず畝に直接まきます。植え替えると股割れしてきれいな大根になりません。株間30センチ間隔で、1カ所につき5〜6粒ずつ点まきします。ジュースの瓶などで深さ1〜2センチのくぼみをつけると均一なまき穴ができ、発芽がそろいます。その後1〜2センチ程度覆土しましょう。
種は雨の直前にまくのが理想ですが、しばらく晴れが続くようであればたっぷり水をやることが重要。平クワか手でしっかり押さえて水をやります。種まきしたところに稲わらや不織布をかけておくと乾燥防止になり、さらに発芽がそろいやすくなります。
間引きのポイント
間引きは一度に行わず、2回に分けて行います。1回目は本葉1~2枚目のときに、子葉の形が悪い個体や、虫に食われたものを引き抜き、3本立ちとします。
主要な時期である秋まきだと、そのタイミングまでは非常に害虫も多いため、害虫被害を受けた被害株や成長の遅いものを優先して撤去し、20〜30センチ間隔になるように間引きます。
この間隔が広ければ広いほどダイコンは大きくなりますし、狭ければ小さいダイコンがたくさん収穫できます。
子葉が奇形のものは大根の形も悪くなります。引き抜くときは、残す株をしっかり手で押さえてやるとよいでしょう。間引き後は倒れやすいので、手で軽く土寄せをします。
2回目は本葉4~5枚目のときに、1本立ちになるように間引きます。茎が極端に太いものは股割れに、茎が黒いものは病気になっている可能性があるので抜きましょう。
生育の悪いものや、虫に食われたもののほか、斜めに生えている個体も間引きます。間引き菜はおいしいのでぜひ食べてください。シンプルに塩だけで浅漬けにすると、シャキシャキの歯ごたえでご飯と相性抜群です。
大根の追肥、中耕、土寄せ
2回目の間引きのあとは、追肥と中耕、土寄せを行います。まず追肥として化成肥料を大根の根に直接当たらないように少し離してまきます。2条まきの場合は株と株の間に施すとよいでしょう。次に、中耕することで除草し、根に酸素を供給して成長を促します。最後に株元に土寄せして作業は終了です。追肥が遅れると生育後期に葉ばかりが茂り、根の太りが悪くなります。間引きのタイミングで必ず追肥するようにしましょう。
また、その頃には雑草も生えていると思います。雑草が茂ってしまう前に早めに草取りをして、奇麗な状態にして追肥しましょう。
大根を収穫するポイント
真っすぐに茂っていた大根の葉が、地面のほうに垂れ下がって来たら収穫時期です。よくわからないときは種袋に書いてある収穫までの日数や、大根の太さを参考にしてもいいでしょう。冬場は一気に収穫せずに少しずつ収穫し、畑に生えたまま保存しておくことも可能です。この場合はあらかじめスが入りにくい品種を選んでおくのをおすすめします。それでも収穫があまりにも遅れると老化してスが入るので、できるだけ早めに取るようにしましょう。茎を切った時に中に空洞があるとス入りの確率が高いので、目安にしてください。
大根栽培でよくみられる病害虫
ダイコンはアブラナ科の野菜なので、当然のように害虫の標的になります。
特にアオムシ、ヨトウムシ、コナガ、アブラムシ、ダイコンサルハムシ、キスジノミハムシなどがよく見られます。キスジノミハムシの幼虫は大根の表面を食べるため、肌が汚くなってしまいます。種まき前に、土壌に混ぜるタイプの殺虫剤を使用すると効果的です。防虫ネットのみで対処する場合はできるだけ目の細かいネットを選びましょう。
病気はウイルス病や軟腐病が発生します。ウイルス病はアブラムシによって運ばれてきます。アブラムシの防除としては殺虫剤が最も簡単で効果的ですが、シルバーマルチや防虫ネットも有効です。軟腐病は見つけたら畑の外に持ち出して処分しましょう。
まとめ
土づくりさえ頑張ってしまえば、その後の管理作業は少なく、もりもりと土の力で大きくなってくれるのが大根です。手間がかかるようで意外とそうでもないので、とにかく最初の畑の準備段階で力を入れて取り組むことが大切です。太い大根を畑からズボッと抜いた時の感動を味わってくださいね。出来上がった大根は煮物もいいですが、一度は生のまま味わってみてください。かんだとたんに口に水分があふれ出すような、あまりのみずみずしさに驚いてしまうかもしれませんよ。
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