バジルの栽培時期
バジルの発芽適温は20度以上なので、十分に暖かく遅霜の心配がなくなってから種をまくといいでしょう。熱帯原産で寒さに弱い植物なので、気温が10度を下回ると一気に枯れてしまいます。夏の暑さにはめっぽう強く、40度を超えても旺盛に生育します。
バジルの用土の選び方
プランターに入れる土の種類ですが、筆者はホームセンターに置いてある市販の園芸用培養土をそのまま使うことをおすすめします。
自分で赤玉土や腐葉土を混ぜて使ってもいいのですが、市販の園芸用の培土はすでに調整されているのでそれだけで使うことができます。「野菜の土」や「ハーブの土」と書いてあるものなどがおすすめです。
一つだけ注意点があります。ホームセンターの培土コーナーにはたくさんの種類が置いてありますが、その中にひときわ安価な培土があります。こちらは大抵無調整で、自分で石灰を入れたり肥料を混ぜたりする必要があります。それぞれを全て購入しても多すぎますので「pH調整済み」「元肥入り」といった表記のものを選びましょう。
バジルのプランター・鉢の選び方
バジルを植え付けるための鉢は、一株だけであれば5号以上(直径20センチ程度)の鉢でも十分に成長し、暖かい間収穫を続けることができます。
もっと小さい鉢でも栽培可能ですが、土の量に比例して成長する大きさの限界が決まるので注意してください。
複数植え付ける場合は、株間が30センチほど必要になりますので細長いタイプのプランターを用意しましょう。バジルは大きく成長するので、大きめのプランターを使った方がいいでしょう。畑は土壌酸度が酸性に傾いていれば、石灰をまいて耕しておきます。プランター栽培の場合は数が多くなりすぎるので、はじめは購入した苗からの植え付けをおすすめします。
バジルの播種(はしゅ)
一般家庭で食べる場合はバジルを2、3株植えておけば十分な量が収穫できます。また、詳しくは後述しますが挿し芽で増やすことも可能です。種を購入してもかなり余ってしまうので、ホームセンターなどでポット苗を買うと便利です。直売所に出荷したいから大量に必要、珍しい品種を育ててみたいなどの場合は種から栽培しましょう。プランター栽培の場合は数が多くなりすぎるので、はじめは購入した苗からの植え付けをおすすめします。
畑で栽培する場合は直まきするか。ポットやセルトレイに種をまき、あとで定植します。プランターで栽培する場合はプランターに種をまき、そのまま育ててもいいでしょう。バジルの種はとても小さいので、ごく浅く5ミリくらい土をへこませて種をまきます。種を4、5粒まいたら、上から土を薄く種が隠れる程度にかぶせます。バジルの種は光を好むので、土を分厚くかけて真っ暗になってしまうと芽が出にくくなります。乾燥を防ぐくらいの気持ちでパラパラとかぶせましょう。
バジルの植え付け
バジルを植え付ける時は、まず根鉢を取り出して根の状態を確認しましょう。ほとんどの場合はそのまま植え付けて問題ないのですが、運が悪いと根がギッチリ詰まっていて茶色く変色していることがあります。
そのような時は根を少しほぐして植え付けましょう。
深く植えすぎず、地表面がフラットになるように植え付けます。植え付けたら鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをして、根と土がぴったり密着するようにします。
バジルの間引き、定植
本葉が出て葉が混み合ってきたら、生育の悪いものをはさみで切って、1本にします。切った葉はさっそく料理に使ってみましょう。肉料理のかざりや、スープのトッピングにぴったりです。
定植は本葉4〜6枚の頃に行います。植える直前に、苗にはたっぷりと水をあげておきます。畑にスコップなどで穴を掘り、植え穴にも水をたっぷりかけます。根がくるくると巻いている場合はやさしくほぐしてから植えましょう。土がよく湿っていれば根もほぐしやすくなっているはずです。
バジルの追肥
成育中に葉の色が薄く、黄色っぽくなってきたら肥料をあげましょう。化成肥料を株元にまき、クワやスコップで軽く耕して肥料を土に埋めます。バジルは肥料が切れてしまうと成長点に花を咲かせて種をつくり、8月頃に枯れてしまいます。収穫を長く楽しみたければ、2〜3週間に1度は追肥をするといいでしょう。収穫開始と同時に化成肥料か油かすを小さじ1杯程度与えます。プランターの場合は液肥も便利です。
バジルの摘心
バジルはそのまま成長させると、上へひょろひょろと伸びていきます。それでも悪くはないのですが、背が高くなって倒れやすくなりますし、収穫量があまり多くなりません。そのため、「摘心」を行いましょう。
摘心とは、一番てっぺんの芽を取って、わき芽を伸ばすことを言います。わき芽が伸びることで枝の数が増え、葉の数も増えるのでたくさん収穫することができます。バジルの背丈が20センチくらいになったら、下から3節くらいを残し頂上の芽を切り取りましょう。
実はこの切り取った芽から、またバジルを育てることも可能です。「挿し芽」という方法ですが、バジルは非常に生育が旺盛なので成功しやすい作物です。やり方は簡単、土にこの芽を挿し、乾燥しないように水やりをするだけです。
とにかく乾かさないことが肝心なので、水につけておくだけでも根が出てきます。根が出てきてから土に植え付けてもよいでしょう。最初から地面に挿しておいても、乾かさなければそのまま増殖できます。根が出るまでは弱いので、直射日光が当たらない場所に置きましょう。
また、コップに水を入れて芽を挿しておくだけでも根が出てきます。すごい生命力ですね。こちらはその後、土に定植することもできますし、水耕栽培で育てることも可能です。水耕栽培でもバジルは育てやすいハーブです。
失敗するとすれば葉からの水分の蒸散によって枯れ上がってしまうことがあるので、葉っぱをたくさんつけたまま挿し木しないよう気を付けましょう。葉っぱを半分に切っておくことでも蒸散量を減らすことができ、成功率は上がります。
バジルの収穫
根が活着するまでは動きがないですが、地下部は成長しているので安心してください。1週間もすると徐々に地上部も成長をはじめ、背丈が高くなってきます。
収穫は摘心の要領で行います。一番てっぺんの葉を4枚くらいまとめてはさみで切ります。しばらくするとその下のわき芽が伸びてくるので、いい大きさになったらまた収穫します。こうして次々とわき芽が伸びてくるので延々と収穫できます。先述したように、長く収穫するためには肥料も必要です。追肥を必ず施しましょう。若い葉が小さくなったり黄色くなったりした時は肥料不足です。追肥の際に土を軽く耕して空気を入れると根の成長に効果的です。
小さな鉢に植えているのであれば、葉の数が6枚くらいになったところで、先端部分(4〜5葉)を切り取って収穫してしまいましょう。大きめの鉢に植えている人は、もっとたくさんの量を収穫できるよう、葉10枚ほどまで最初の収穫を待ってもよいでしょう。先端が収穫されることで成長点を失ったバジルは、代わりに他の成長点をどんどん伸長させます。成長点を切り取るごとに芽が枝分かれして成長点が増えていきます。これらの成長点を摘んでいき、収穫期間の間、何度も繰り返し収穫し続けます。
収穫していると、そのうちに花芽がついてきます。花を咲かせて種がついてしまうと、バジルは「子孫を残したからもう役目は終わったわ」とばかりに枯れてしまいます。とれた種は来年また育てることができます。種がつかなければまだまだ成長を続けます。花を見つけたらすぐに取っておきましょう。花も食べられます。
寒さに弱いバジルは、秋になって気温が下がってくると急に元気がなくなってきます。霜がおりると一発で変色して枯れてしまうので、そうなる前に早めに、収穫できる葉はすべて刈り取ってしまいましょう。収穫した大量の葉は冷凍したり、乾燥させたり、ジェノベーゼソースを作るなどして活用してください。
バジルにつく主な病害虫
ヨトウムシや、メイガ、バッタが葉をむしゃむしゃと食べるほか、アブラムシ、ハダニ、スリップスなども発生します。大きな害虫は手で駆除するか、ひどい場合は農薬をかけるなどして対処してください。ハダニやスリップスなどの小さな害虫は手で捕殺するのは困難です。新芽に集中しているようであれば、どんどん収穫して個体数を減らすのもいいでしょう。病気には強いほうですが、水のやりすぎによって根腐れ病になることもあります。また、軟腐病も発生します。病気になった株は抜き取り畑の外に処分して、菌が残らないようにしましょう。
コンパニオンプランツとしてのバジル
バジルは、夏野菜とともに植え付けることでお互いの生育を助ける共栄関係を築くことができます。害虫被害を減らす効果もありますので、夏野菜のトマトやナスの近くにバジルを1株植えてみましょう。
ナス10株につき1株だけでも十分な効果が期待できます。ナスの畝の端っこに1株、トマトの畝に1株。収穫も同時にできますので、野菜にとっても調理する人間にとってもうれしい組み合わせです。
バジルには多くの品種があります。流通するほとんどがスイートバジルですが、レモンの香りがするレモンバジル、シナモンのような香りのシナモンバジル、紫色でガーデニングにも用いられるダークオパールバジル、タイ料理に使われるホーリーバジルなどその数は150種類以上とも言われています。普段スーパーでは手に入らない珍しい種類を育てられるのも家庭菜園の楽しみです。いろいろなバジルを育てて、お好みの香りを見つけてみませんか。完全に放置しておいて適当に必要な時だけ先端の葉を摘み取るだけでもそれなりに楽しむことができますので、気軽に試してみましょう。
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