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凍霜害の仕組み、簡単にできる4つの防ぎ方

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凍霜害の仕組み、簡単にできる4つの防ぎ方

初冬はもちろん、早春にも油断できないのが霜の被害です。予報気温が氷点下まで下がらなくても、翌朝には畑中が真っ白なんてこともしばしばあります。作物の種類によっては、たった一度の霜害で完全に枯れてしまうものも。霜害のほか低温被害には凍害もあり、合わせて「凍霜害」と呼ばれます。この凍霜害が発生する仕組みや、家庭菜園でもできる簡単な対策方法をまとめました。

「星がきれい」「無風」の翌朝は危険

低温によって作物が凍結し、被害をもたらす凍害。主に冬、寒さの厳しい時期に多く見られます。しかし晩秋や初冬の冷え込みが強まりはじめた頃や、早春にも警戒が必要です。

霜に当たった芽キャベツ

霜が降りた芽キャベツ

「放射冷却」をご存じでしょうか。日中に太陽光によって地面に蓄積された熱が、夜間に上空へ逃げていくことを指す言葉です。

放射冷却が特に強まるのは、雲ひとつない星空がきれいな夜。放熱を邪魔する雲がなければ、地面に蓄えられた熱が上空へと一直線に逃げていくからです。また、冷たい空気と暖かい空気を混ぜ返す「風」がない日や、湿度が低い日ほど放射冷却はいっそう強まります。

放射冷却が強い日、地表付近の気温が0度以下になると霜が降りやすくなります。地面や作物の表面に氷の結晶が付着するため、作物が凍結し、ダメージを受けます。

作物のなかには、たとえばカリフラワーの花蕾(からい)のように、植物体自体は低温にはそれほど弱くないのに、霜に当たると出荷できない見た目になるものもあります。裏を返せば、霜害さえ防ぐことができれば、もっと長期間出荷できるのです。

霜に当たったパパイヤ

霜に当たり、枯死しつつあるパパイヤ

凍霜害への対策方法

対策1 べたがけ

不織布

ティッシュのように薄いが、なかなか心強いのが不織布

いちばん簡単な凍霜害対策は、不織布や寒冷紗(かんれいしゃ)といった被覆資材を作物の上にかけてやることです。

一般的には「べたがけ」と呼ぶ方法で行います。
べたがけするにも、資材の種類や設置の方法はいろいろありますが、筆者が使っているのは比較的安価な不織布です。ティッシュのような薄い布ですが、冒頭で触れたように、放射冷却を緩やかにする「雲」の役割をすることで、霜害を防ぐことができます。

また、ある程度保温性もあるため、少し遅めにまいてしまったホウレンソウなどにかけてやると、真冬になるまでに大きく育てることができます。

筆者がべたがけに可能性を感じたのは、3月下旬に植え付ける早い作型のズッキーニの霜よけです。不織布を二重にかけたウネのズッキーニは、氷点下3度の寒い朝に数日耐えましたが、何もかけていないほうは一夜にして葉っぱがダメージを受けてふにゃふにゃになり、やがて枯れてしまいました。

不織布をかけていた右のウネのズッキーニは元気だが、不織布なしの左のウネのズッキーニはほぼ枯れた

対策2 モミガラ

モミガラ

ライスセンターでは無料でもらえるモミガラ

根菜類の保温にうってつけなのが、モミガラです。稲作農家や、農協のライスセンターで分けてもらっています。

舟形のモミガラの隙間(すきま)には暖かい空気の層ができるため、地表面や地中の凍結を防ぐことができます。根菜類の株元に数センチほどの厚さに敷くだけで、サトイモを土の中で越冬させられたり、厳寒期に起こりやすいダイコンの割れが少なくなったりします。

また、レモングラスなどの寒さに弱い植物も、成長点のある地際を土で埋めたうえ、モミガラを厚くかけておくと、氷点下8度まで下がる筆者の地域でも露地で越冬させることができます。

対策3 砂糖発酵液

作成途中の砂糖発酵液。300〜500倍に薄めて、1週間に1回まく

植物は、冬に向かって体を凍りにくくするため、自らさまざまな対策をしています。そのひとつとして、細胞の中の水が凍結しにくいように、体内の水分含量を減らし、糖の含量を高めます。体内に不凍液を巡らすように、凍結から身を守るのです。

筆者は、東北の農家に教わって今年から「砂糖発酵液」の葉面散布を試しています。この液肥は、砂糖と水に、菌を含む発酵食品(バイエムコーソ)を加えて発酵させたシンプルなもの。砂糖に含まれる糖分を菌が噛み砕くことで、植物が吸収しやすいかたちに変えてくれるそうです。植物が冬ごもりしようとしているのを助けてあげるイメージです。

まだ実験途中ですが、早朝に氷点下になると紅葉してしまうパクチーが、液肥を散布したところでは11月末でもまだ緑を保っています。

パクチー

砂糖発酵液を1週間に1回かけた、11月末のパクチー。最低気温氷点下2度を数度経験してもまだ緑色を保っている

対策4 小さなハウスの凍結を防ぐ小さな暖房器

暖太郎

暖太郎。発熱量はロウソク44本分のこと

真冬のビニールハウスは、早朝には外と同じくらいの気温になります。重油代が高騰するなか、真冬のハウスをいかに保温するかは悩みどころです。

わが家の小さな育苗ハウス(55平方メートル)には「暖太郎」という小さな暖房器を2台設置しています。タンクには灯油が4リットル入り、50〜60時間燃焼するというコストパフォーマンスが高いものです。

さすがに本格的なボイラーやストーブと比べると暖める力は弱いものですが、発生したほんわか暖かい空気が冷たい空気を混ぜ返すことで、ハウス内の凍結を防ぐことができます。

ラニーニャ現象の影響によって、今年の冬は平年よりも冷え込むという予想が出ています。上記のような対策以外にも、凍害や霜害の仕組みがわかれば、自分の身の回りのものを使ったよいアイデアが生まれることと思います。

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