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さらに手厚くなった新規就農支援によって、農業はどう変わるか【新春対談企画 農林水産省×マイナビ農業】

さらに手厚くなった新規就農支援によって、農業はどう変わるか【新春対談企画 農林水産省×マイナビ農業】

政府の2022年度予算案が、このほど閣議決定した。農業関係で特に注目を集めているのが、新規就農者支援の刷新だ。新規就農者による機械や施設の導入費を国と県が連携して支援する事業を新設。就農から最長3年間(雇用就農の場合は4年間)、全額国費による資金交付も行う。これにより、農業の裾野はどのように広がりを見せるのだろうか。農政の旗振り役である農林水産省大臣官房長の横山紳(よこやま・しん)さんと、マイナビ農業を運営する株式会社マイナビ農業活性事業部長の池本博則(いけもと・ひろのり)が意見を交わした。

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横山紳さんプロフィール

兵庫県出身。1986年に東京大学法学部を卒業後、農林水産省へ入省。2008年大臣官房国際部国際経済課長、2012年消費・安全局総務課長、2013年大臣官房秘書課長、2016年大臣官房国際部長、2017年大臣官房総括審議官(国際)などを歴任し、2019年7月に経営局長へ着任。2020年8月より現職。

池本博則プロフィール

2003年に株式会社マイナビへ入社し、国内外大手企業の採用活動の支援を担当。2017年8月、農業情報総合サイト『マイナビ農業』を立ち上げ、農業分野に参入した。昨秋には一次産業に特化した求人サイト『マイナビ農林水産ジョブアス』をリリース。「農林水産業の未来を良くする」というビジョンを掲げ、「楽しい」「便利」「面白い」サービスの提供に奔走している。

産地維持のカギは新規就農者の確保と定着

池本:担い手不足や農業者の高齢化が叫ばれて久しい昨今ですが、2021年までの農業界の現状をどのように捉えていますか。

横山さん:現在、基幹的農業従事者の平均年齢は68歳と高齢で、リタイアしていく方々の農地や農業技術をどのように引き継いでいくのかがポイント。他地域から入ってくる人を含めて、しっかりと後継者を確保して育成していくことがカギになってきます。ただ、新規就農者はここ数年、若干減ってきているのが実態。一層、行政として新規就農者を増やしていく努力が求められていると考えています。

池本:人材の確保と定着は将来的に産地、農村を維持していくために極めて重要なファクターですね。こうした担い手を獲得していくために講じられた、今年度以降の政策のポイントについて教えてください。

横山さん:農業には作物を作って、収穫して売り、利益を次の投資に回すという一連のサイクルがありますが、最初はどうしても初期投資というリスクがあります。そうした部分を「農業次世代人材投資事業」(旧青年就農給付金)という形でこれまで支援してきましたが、今年度からは一層の呼び込みと定着を図るため、経営発展のための機械、施設等の導入を支援する事業を新設しました。これらを活用してもらいながら、若い人にどんどんチャレンジしてもらいたい。そのために、地方と連携しながら農業の魅力や難しさなどをしっかり情報発信していきたいと思いますし、マイナビさんにもぜひPRをお願いしたいと思っています。

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池本:我々の出番ですね(笑)。今回刷新された新規就農支援の概要を見る中で、今後は獲得した担い手がいかに「定着」できるかがポイントになってくると感じました。新規就農するも、途中でやめられる方が多い昨今、農業経営発展へのサポートを手厚くすることで、長く農村に定着してほしいという意向が見受けられました。

横山さん:おっしゃる通りです。現制度(農業次世代人材投資事業)では使途を限定していなかったため、自由度がある反面、農業資金として必要額を回せるか、はっきりしないという側面がありました。作物にもよりますが、最初はそれなりに初期投資がかかります。毎年、農薬や肥料、種がたくさんいるわけで、施設が必要になる場合は総額が1000万円単位に上ることも。そうしたことにも手が届くよう支援を新設し、“農業を始めようとする人に向けた投資”という観点で、国だけでなく県からも補助金を出してもらう仕組みにしました。

新規参入でも、親元就農でも。より広がった、農業の選択肢

横山さん:新規就農には「親元就農」「新規参入」「雇用就農」の3つの形がありますが、このうち親元就農の数が伸びていなかったのです。親元で就農しようと考えている方の中には「この機会に新しい農機に刷新したい」、「さらに規模を拡大したい」という思いを抱えている方も多いと思います。そうした挑戦を後押しすることも、新制度の狙いの一つです。

池本:この「親元就農」というキーワードは非常に重要ですね。私自身も各地域を訪問する中で、そうした課題があるという声を多く聞いてきました。反対に、子供が上京した農家さんからは「(故郷に)帰って来なくていいから」「農家を継がなくてもいいから」といった声を聞くことも珍しくありませんでした。

横山さん:非常にもったいないと感じます。親御さんがこれまで機械や土づくりなどで一定の投資をされてきたわけですから。それらを引き継ぐだけでなく、新制度を活用しながらしっかり規模を拡大していってもらえれば、いま我々が目指している農地の集約や集積といった部分にもつながる可能性があると思っています。何より、若い人に入ってもらえないと、地域の活性化は図れないと思います。

もちろん、予算や制度を作って終わりではありません。これから新制度を活用して就農された方にとっても、県や市町村、普及組織や農協の方々のフォローがなければ定着は難しい。どうやって作物を植えるのか、病害虫が発生した場合にどうすればいいかなど、有事の際や農業経営面でのアドバイスなくして新規就農の成功はないと思っています。ぜひ、地域をあげて挑戦を後押ししてほしいと考えています。

農業の未来は明るい。誰しもが挑戦できる業界へ

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