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異常気象と生育不良…減収に悩むネギ農家とJAとっとり西部が目指す未来

異常気象と生育不良…減収に悩むネギ農家とJAとっとり西部が目指す未来

西日本有数の白ネギの産地、鳥取県西部。3月~5月は標高の低い平野部で「春ネギ」、6月〜9月は中山間地を中心とする「夏ネギ」、10月~2月はほぼ全域で「秋冬ネギ」と、0~800mの標高幅を有効活用した周年栽培をしています。

そんな老舗産地が直面した異常気象と生育不良。減収に悩むネギ農家とJAとっとり西部が歩み出した一歩について取材しました。

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■参加者

異常気象に起因する生育不良、減収……その時、1人の生産者が動いた

━━JAとっとり西部が直面した課題とはなんだったのでしょうか?

永見さん

異常気象による高温干ばつや集中豪雨の影響もあり、育苗中の過乾燥や過湿による病害発生で発芽不良や生育不良が起こったり、圃場での軟腐病により収量が落ち込んだり、中には5割以上の減収になった生産者もいました。

このまま栽培面積が減少すれば、将来的に周年出荷産地の維持が難しいと、JAとしても危機感を覚えていたんです。

JAとっとり西部 弓浜営農センター センター長 永見 剛さん

━━なるほど。そこで「ある人」のもとへと動いたんですね。

永見さん

それがコロナ禍になってしまい、移動が叶わなくなってしまって…。課題解決の件はいったん頓挫したんです。

ところが、2022年秋に須田さんから「ねぎびとカンパニーの清水社長に会ってきました」と聞かされ、「え?山形まで行ってきたの!?」と驚いて。


━━最初のアクションは生産者の須田さんだったんですか?

須田さん

そうですね。私は就農7年目なのですが、良いネギが簡単に栽培できたのは1、2年目まで

3年目は中山間地特有の雪にも見舞われ、明らかにネギの姿かたちが悪くなり、収量も少なくなってしまいました。なんとかしようと工夫するも、4年目、5年目と状況は悪くなる一方。

これはまずいと、SNSでネギ農家の情報収集を行い、ねぎびとカンパニーの清水社長の存在を知ったんです。

須田農園 須田 久登さん:有機・無農薬栽培の柚子、白ネギに魂を燃やす熱き生産者。通称、伯耆町の「柚子おじさん」「ネギおじさん」。
・Instagramはこちら ・Youtubeはこちら

━━すぐに連絡を取ったんですか?

須田さん

はい。ネギに携わる生産者の間で、ねぎびとカンパニーは注目の的。清水社長は「誰でも聞いて!」と発信されていて、藁にも縋る思いでメッセージを送りました。

すると「山形に来てくれるなら教えるよ」と、返信が来て。本当なら夏ネギ、秋冬ネギの栽培で忙しいはずの時期(9月下旬)ですが、畑の状態が思わしくないことが幸いして山形に向かいました。

いいものをつくって高く売るために、必要なモノ・コトはすべて教える

━━素朴な疑問なのですが、ご自身のノウハウを教えることに抵抗はなかったのでしょうか?

清水さん

今はないですね。以前、最上川の氾濫で畑が被害を受けた時、他県の生産者が支援に来てくれたんです。当時は「技術を盗まれるかも?」と疑ってしまう気持ちもありましたが、善意で助けてくれた方々に応えたいと考えが変わりました。

私自身も師匠(JAてんどう組合長の金平芳己さん)にずっと教えてもらっていますし、1人に教えるのも、1,000人、10,000人に教えるのも同じですからね。

ねぎびとカンパニー株式会社 代表取締役 清水 寅さん:日本の農業に一石を投じたいという強い意思のもと、美味しさを徹底追求しながら世界で戦える農業経営を目指す。

━━太っ腹ですね(笑)須田さんにはなにを、どう教えたんですか?

清水さん

「いいものをつくって高く売る」、これだけです。栽培は土の力を借りて行うものなので、苗・土づくり・肥料が良ければうまくいく

「苗半作」とはよく言ったもので、苗の出来によって作柄の半分が決まるのは今も昔も同じです。

須田さんは経験もあり、能力もある方なので、基本を再度確認し、管理機の使い方をマスターすれば問題ないと伝えました。


須田さん

初対面の私に快く向き合ってくれ「他に困っている人がいるなら、集めてくれれば鳥取に行く」と言ってくれたんです。

ネギ部会を通じて、困っている若手生産者がたくさんいるのは知っていたので「ぜひお願いします!」と頭を下げ、鳥取に帰ったその足でJAとっとり西部の永見さんに連絡しました。


永見さん

JAでもねぎびとカンパニーの存在は知っていましたが、コロナ禍で動けずにいて…。

そんな中での須田さんの行動力には驚かされましたね。ここから一気に話が進み、2022年の10月にはJAとっとり西部の役員も含めて打ち合わせを行い、清水社長の畑の視察もさせてもらいました。


野口さん

私も苗を見せてもらい、「日本ネギ農家育苗対策本部」の看板を掲げるだけのことはあると確信したんです。

現在は清水社長の指導のもとで育苗試験と肥料試験を実施しており、『葱師のこだわり』(培土と覆土)を用いて育苗し、ねぎびとカンパニーと大成農材で開発した『極肥料』や『超微生物』を利用した土壌改良に取り組んでいます。

今年はじっくり検証の準備を進め、本格検証は来年から。安定育苗を実現し、育苗ロスの減少、所得低下の防止、軟腐病の発生抑制による安定出荷や夏ネギの栽培面積増による産地強化を目指しています。

JAとっとり西部 営農部 次長兼特産園芸課長兼市場流通課長 野口 和弘さん

初代葱師・清水社長とともに、未来への一歩を踏み出したJAとっとり西部

━━ねぎびとカンパニーのおかげで一件落着ですね!

清水さん

いやいや、まだこれからです。次の課題は、この方法論をいかに周知していくか

JAとっとり西部には5つの営農センターがありますが、センターへの情報シェアはもちろん、その先にいる数百人の生産者にどう伝えるかが課題です。

講習会をするのか、YouTubeで映像を見てもらうのか、インフラをつくらなければなりません。


━━なるほど。次の課題が待ち受けているんですね。

清水さん

だからこそ、より多くの生産者に『極肥料』を使ってほしいんです。生産者は私やJAを頼る前に近隣の生産者の声を聞きますから。

より多くの人が『極肥料』を使って成功すれば、「あれはなんだ?」「いいらしいぞ!」と広がっていく。

国も有機肥料を中心にしていく動きがある今が、化成肥料から有機肥料へと変えるベストのタイミングだと思います。

※注:農林水産省は「みどりの食料戦略システム」において、2050年までに化学農薬の使用量を50%、化学肥料の使用量を30%、それぞれ削減するとともに有機農業に取り組む面積を100万haに拡大するなどの目標を掲げている。


清水さん

私自身も化成肥料を使い続けて倒産寸前まで追い込まれ、その経験から『極肥料』を生み出し、今がある。

ただし、資材を変えるだけで良くなるとは思ってほしくない。生産者には腕を磨く努力をしてほしいんです。

近隣の生産者を見て「あそこも失敗している」とホッとするのではなく、「来年こそは!」と奮起してほしいと思っています。


━━では、最後に皆さんの今後の抱負をお聞かせください。

永見さん

JAとっとり西部管内は二極化が進んでおり、規模拡大を目指す若手と縮小傾向にある高齢農家が存在します。

属性が異なる生産者にどう指導するのかが悩ましいところですが、化成肥料から有機肥料への転換期となる「今」が「これまで通り」を脱却する良いチャンス。

ネギも畑もよくなれば収入も上がり、誰もがネギで生活できる産地になる。誰1人取り残さない指導で、ブランド産地を次世代につなげたいと思っています。


加藤さん

収量や生産性の向上を目指すためにも、ねぎびとカンパニーの存在は欠かせません。今はまだ検証準備段階ですが、来年から本格化を進め、メソッドのマニュアル化、定着を図りたいですね。

須田さんや若手生産者の間では、すでにねぎびとカンパニーとの協業への期待が高まっていると感じています。

JAとっとり西部 代表理事常務 加藤 誉正さん

須田さん

私とJAとっとり西部の活動を見て、周囲の生産者の士気も上がっています。みんな収入を増やしたいし、豊かになりたいですから。

私自身も品質の良いネギを安定的に栽培できる技術を身につけ、白ネギで生活できる農家を目指します。

大学生の息子に「魅力的な仕事だからネギ農家を継ぐ」と言ってもらえるよう、これからも背中を見せていきたいと思います。


清水さん

JAが変われば生産者も変わると思います。生産者ファーストのJAはすでに動いていますし、JAとっとり西部もその1つだと実感しています。

この熱量が伝われば生産者が変わり、産地も変わる。本気でぶつかってきてくれる人には本気で応え、これからも地道な指導で産地の課題を1つひとつ解決したいと思っています。


***

たった1人の生産者の熱意ある行動がJAを動かし、産地の未来を変えるアクションへと発展した今回の事例。これは決して特別な出来事ではなく、現状を打破する思いがあれば、必ず変われる!そんな力強さを感じる取材でした。

業界知名度の高いねぎびとカンパニー 清水社長ですが、パッションにはパッションで応えてくれる熱い人!ネギへの、農業への熱い思いが伝わってきました。ぜひ一度、相談してみてください。

【お問い合わせ】
ねぎびとカンパニー株式会社
〒994-0075
山形県天童市大字蔵増字宮田4389-1
TEL/FAX:023-665-4930

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