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中山間地域で実現する理想の農業とは。アグリビジネス養成塾の卒業生たちの挑戦【今年度受講生募集開始】

中山間地域で実現する理想の農業とは。アグリビジネス養成塾の卒業生たちの挑戦【今年度受講生募集開始】

日本の国土の多くを占める中山間地域は、地勢などの地理的条件から農業生産には不利とされてきました。しかし、昨今はその特性を生かした新たな営農スタイルに注目が集まっています。そこで、中山間地域における農業の経営戦略・ノウハウを学ぶ「中山間地域アグリビジネスリーダー養成塾」が今年度も開催されます。本記事では、複合経営や6次化などの新しいアグリビジネスを学べる唯一無二の研修会である、この養成塾で学んだ卒業生の現在の活動を紹介します。

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令和6年度 中山間地域アグリビジネスリーダー養成塾 参加者募集スタート!

日本の原風景ともいえるこれらの土地で、特色のある農業経営を行い、実績を上げた農家の戦略・ノウハウを学ぶセミナーが「中山間地域アグリビジネスリーダー養成塾inJAPAN」です。全国の中山間地域における複合経営の実践者が、経営企画の立て方から、農業の苦労と楽しさ、実際の収支まで、受講生に具体的な事例を伝授します。

6次産業化や複合経営、ブランディングの確立など、あなたも理想の農業経営にチャレンジしてみませんか。この機会に、ぜひお申込みをご検討ください。

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さらに詳しく知りたい方はこちら


※カリキュラムの途中からでも参加可能となります。また、過去の研修は応募後にアーカイブ動画でも視聴可能です。

▼こちらは8月3日(土)キックオフセミナーの内容です。

次章から、養成塾の卒業生の受講までの経緯と現在の活動を見ていきましょう。

福井県随一の米どころで独立就農、敢えて畑作で生きる方法を模索

福井県西部の若狭湾に面した若狭町は、小高い丘陵に囲まれた風光明媚な水郷です。清流をもたらす北川流域は良質な米の産地であり、隣の三原町にまたがる三方五湖周辺では「福井梅」の栽培が盛んです。その若狭町で農業を始めた播磨彩花さんが、就農作物に選んだのは、米でも梅でもなく野菜でした。

Web制作エンジニアから農業者へ転身

播磨さんは大阪府高槻市の出身。専門学校でデザインを学び、大阪市内のweb制作会社に就職してエンジニアとして働いていました。24歳で管理職になったとき、やりたいことを再定義するために他の世界も見てみようと、京都の茶農園でのアルバイトを経験し、農業をやりたいと思いました。
毎週のように親と釣りに訪れた馴染みのある福井県若狭地域で、農業研修をするかみなか農学舎を見つけ、2年間の研修を受けて独立就農しました。その最終年、農楽舎の紹介で「中山間地域アグリビジネスリーダー養成塾」に入りました。

播磨さん

この地域は米の産地で同期もみんな米で就農しますが、独立して一人でやるなら園芸作物だろうと考えていました。園芸作物で農業を始めるとどんな課題に直面するのかを聞けたらと思って養成塾の受講を申し込みました。

ちょうど結婚して若狭町内に家を借り、会社員の夫と暮らし始めていたので、オンラインで学べることも播磨さんには魅力でした。

播磨さん

若狭町でずっと農業をやっていくと決め、自分一人で何ができるかを模索していたところに講師陣からたくさんのヒントをもらいました。例えば、トマトの自動販売機をしている方の話を聞いて一人で農業をするならこの方法もありだと思いました。

地域ビジネスとつながって6次化の実現へ

現在は、雨除けハウス(2畝)で、マルセイユメロンをメインに、福井県のブランドトマト「越のルビー」、葉物野菜を栽培。露地(3a)では仏花用の小菊、甘長とうがらしなどを栽培し、JA等の直売所を主な販路としています。

メロンは町内に播磨さん以外の生産者はなく、地産品として贈答用に人気が高く、小菊も地域の需要に応える形で栽培をスタートしました。直売所の経営者にも通年での野菜の出荷を期待されています。
農地を拡大してメロンの収量が増えたら、いよいよ加工品に着手する予定です。

播磨さん

キッチンカーをやっている人がメロンを使ったスイーツを作ってくれたり、近くの定食屋さんでメロンを使ったかき氷を販売してくれたりしています。6次化は自分一人でやるよりも地域ビジネスと結びついて実現していきたいです。そこで、前職のデザインやWeb広告のスキルを生かせたらいいですね。

今は使われていない地域の加工設備を使用することも考えているという播磨さん。地域資源を発掘しながら、人脈を広げて、理想を実現していくことでしょう。

福祉の現場で20年。その経験を生かした6次産業化と農福連携への挑戦

愛媛県今治市の高齢者福祉施設で責任者を務めていた岡部祐亮さんが就農したのは、生まれ故郷の愛媛県・松野町。高知県と県境を接する山間の町で四万十川の支流に位置する観光地ですが、現在は高齢化が進み、実家のある目黒地区は人口の60%が高齢者です。

生まれ故郷で「ケアファーム」を目指す

岡部さんは、実家の両親を見守りたいという思いもあって、20年勤務した病院付属の高齢者施設を早期退職。父が営む柚子農園とは別の経営体として、キュウリ(10a)とサツマイモ(1ha)の2本柱で就農しました。鬼北地区のJA推奨品目であるキュウリで収入を安定させながら、サツマイモを加工品につなげる計画で、干し芋用の紅はるか、焼き芋で需要の高い紫芋、安納芋を作っています。

高齢者介護の知識を生かして、地域貢献をしながら農業経営をしたいと考え、研修中に愛媛県が開催している6次化研修に参加して養成塾を知りました。マーケティングなど未知の部分が興味深く、2期連続で養成塾の受講生となりました。

岡部さん

両親も含めて周囲からは、地方で農業をやっても生活できないと、早期退職してまで就農することに否定的な意見が多数でした。養成塾で学んだことで、それまで夢物語のようだった自分のやりたいことについて説得力をもって話せるようになりました。

90歳のおばあちゃんが、苗を分けてほしいと嬉しそうにシルバーカーを押してきて、一生懸命に芋を掘っている姿を見て、デイサービスに変わるものとして農業を生きがいの場にできたらと、岡部さんは考えました。

岡部さん

養成塾で各地の事例が紹介され、自分が目指す農福連携の形が「ケアファーム」だと結びつきました。やりたいことを言語化して、行政の方に目指す方向を伝えられるようになり、計画が一歩ずつ進んでいくように感じます。

養成塾でやりたいことを答え合わせ

農園は娘さんの名前にちなんで華(はな)ファーム。高齢者には管理が難しくなった竹林を伐採して竹パウダー(肥料)に変えてサツマイモをつくる循環型農業など、地域資源を活用したプランが次々と浮かんできました。
研修期間中に加工事業所の東京での商談会を手伝い、バイヤーのニーズも把握できました。当面はその加工所で干し芋の委託製造を行い、将来は自園の加工所を構えることが目標です。

岡部さん

高齢者に収穫や加工に従事してもらい、地元食材を使った配食サービスなどの事業につなげて栄養面もケアして、地域農産物の加工・流通の受け皿になることも考えています。

岡部さんにとって、養成塾は自分のやりたいことの答え合わせ。自身がプレゼンしたことが肯定され、講師たちが達成できる方向へ導いてくれたことが、農業経営のモチベーションになっているそうです。

受講料は全て無料! 期間中の申し込み・途中参加もOK

中山間地域における複合経営などに関心のある方に向けた農業ビジネス研修会「中山間地域アグリビジネスリーダー養成塾 in JAPAN」。
2024年は8月3日(土)から2025年1月25日(土)まで。受講料は全て無料です。

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※カリキュラムの途中からでも参加可能となります。また、過去の研修は応募後にアーカイブ動画でも視聴可能です。

お問い合わせは、「全国アグリビジネスリーダー養成塾事務局」までお寄せください。
なお、先着順のため、定員になり次第募集は締めきりとさせていただきます。

【取材協力】
播磨彩花さん
岡部祐亮さん

【お問い合わせ】
農都共生総合研究所「中山間地域アグリビジネスリーダー養成塾事務局」
mail:all@notosoken.jp
*中山間地域にて現地実践研修希望の方は上記メールアドレスへお問い合わせください。

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