店頭売価を想定して販売交渉
丸山さんは33歳。いったん企業に就職した後、2018年に実家のブドウ農家を継いだ。会社員のとき営業の仕事をした経験が、需要をつかんで生産を考えるマーケットインの発想につながった。それが輸出にも生きた。
もともと農協に出荷していたが、丸山さんの就農を機にスーパーなどへの独自販売に切り替えた。「ブドウがどこでどう売られているのかわからない」という状態のままでは、事業を伸ばせないと思ったからだ。
戦略の基本は「店頭でいくらで売れるか」を考える点にある。商談相手のスーパーのタイプごとに店頭売価を想定し、輸送経費や製造原価、双方の利益などを計算。それが可能になるように栽培計画を立てる。

タイでの販売の様子
こうした考え方は、販路が国内でも海外でも共通。農協や市場、卸会社を間に挟まないシンプルな流通にしなければ、実現が難しい手法だ。就農からわずか2年で生産と販売を抜本的に変えたことに驚かされる。
自社農場の面積は20ヘクタールで、地域のブドウ農家からも仕入れている。2026年6月期の売り上げは4億円を見込んでいる。そのうち約4割を香港やタイ、シンガポールなどへの輸出が占める見通しだ。
樹齢に合わせた栽培管理で売価を設定
どうやって海外市場を開拓したのか。売り先を確保するため、まず現地の展示商談会に行ってみたりしたのだが、この辺りは他の農業者でもある話なので詳細は省く。焦点はいかにマーケットインを徹底したかだ。
「日本が狙いがちなハイエンド(高級品)の購入層だけでなく、アッパーミドルもターゲットにしている」。丸山さんはそう話す。そして「(後者のマーケットで)韓国産のシャインマスカットと戦うことができる」

















![[ユーザーインタビュー]畑ごとの施肥量計算もラクにできる!肥料の無駄削減につながるスマホアプリ「肥料のミカタ」 [ユーザーインタビュー]畑ごとの施肥量計算もラクにできる!肥料の無駄削減につながるスマホアプリ「肥料のミカタ」](https://agri.mynavi.jp/wp-content/uploads/2025/10/b866d362244d9c1290f28e55b432c1c7-200x150.jpg)