公式SNS

マイナビ農業TOP > 農家ライフ > 病害虫に負けない! 無農薬栽培を成功させるコツ【DIY的半農生活Vol.48】

病害虫に負けない! 無農薬栽培を成功させるコツ【DIY的半農生活Vol.48】

和田 義弥

ライター:

連載企画:DIY的半農生活

病害虫に負けない! 無農薬栽培を成功させるコツ【DIY的半農生活Vol.48】

茨城県筑波山のふもとでセルフビルドした住まいに暮らし、約3.5反(35アール)の田畑でコメや野菜を栽培するフリーライターの和田義弥(わだ・よしひろ)が、実践と経験をもとに教える自給自足的暮らしのノウハウ。家庭菜園愛好家に悩みを聞くと、必ず挙がるのが病害虫対策。みなさん、どのように対処していますか? わが家では、物理的対策と環境づくりによって、病害虫をそこそこうまく抑えている。100%無農薬。もちろん、多少の虫食いや病気はあるけれど、自分たちが食べる分くらいは十分に収穫できる。今回は、そんな無農薬栽培のコツを紹介します。

twitter twitter twitter twitter
URLをコピー

失敗から学ぶ、無農薬栽培がうまくいかない理由

春分の日を過ぎたころから、畑にモンシロチョウが飛来するようになった。春先のチョウは、昨秋にふ化した幼虫がサナギで越冬した個体だ。トウが立って黄色い花を咲かせたハクサイの周りを、2頭のチョウが絡むようにひらひらと踊っている。オスがメスを追いかけているのだ。恋が実ると、メスはその日か翌日には産卵する。

02_アオムシ_IMG_9938

モンシロチョウの幼虫アオムシ。アブラナ科の葉を好んで食害する

チョウが舞う花畑は春のほほえましい光景だが、作物を育てている畑となると話は別だ。キャベツやブロッコリーは、卵からかえったアオムシに食べられて瞬く間に穴だらけになってしまう。アオムシだけではない。ヨトウムシやアブラムシ、アワノメイガなど、害虫は数え上げればきりがない。その被害をどうやって抑えるかは、野菜づくりの課題のひとつだ。

さらに、害虫よりやっかいなのが病気だ。害虫は原因が目に見えるので対策をとりやすく、物理的に排除することで被害の拡大を抑えられる。一方で病気は原因を特定しにくく、発生すると株を回復させるのが難しい。例えば、一株のトマトに病気が発生し、それが広がると畑のトマトが全滅することもあり得る。

03_うどんこ病_IMG_9952

キュウリに発生したうどんこ病。葉が白い粉をふいたようになる

では、そうした被害を防ぐためにどうすればいいか。最も確実なのは、薬剤を使うことだろう。
私が暮らす農村は、カキやクリ、ナシやブドウなどの果樹園がそこかしこにあるフルーツヴィレッジだ。多くの果樹園では初夏から夏にかけて、病気や害虫を抑えるための薬剤を散布する。数週間おきに何回もまく。一帯が白く霧がかる光景は、はたから見て決していいものではないが、農家としては徹底してやらないと商品にならない。生活がかかっているのだから、病気や害虫にやられて「失敗しちゃった……」では済まないのである。

一方で、わが家の畑で作る野菜は自給用だ。趣味と言ってもいい。多少虫食いがあっても、形が悪くても一向にかまわない。タマネギの生育が悪くても、ズッキーニが病気で全滅しても、それで食べるものがなくなったり、暮らしが傾いたりする心配はない。だから薬剤を使ってまできれいな野菜を育てる必要はないのである。そもそも気分的にも薬剤を使う気にはなれないし、そこまでして野菜を作りたいとは思わない。

04_収穫物_MG_5417

薬剤を使わなくてもこれくらいの収穫はできる。自給用であれば十分でしょ

かといって、病気や害虫に何も対策をしないわけではない。
何もしなければ、本当にキャベツやブロッコリーはアオムシのエサになって終わるし、トマトも病気が発生すれば満足いく収穫は期待できない。スイカも枯れる。そういう失敗はこれまで十分経験してきた。

でも、失敗をすれば、なぜうまくいかなかったかが学べる。で、今では無農薬・無化学肥料でそれなりに野菜をうまく作れるようになった。それにはやっぱりコツがあるんですよ。

無農薬で害虫を防ぐには「物理的防除」が確実

野菜づくりは人によってやり方が違うし、薬剤を使わずに病気や害虫を抑える方法もいろいろある。自然農法とか、コンパニオンプランツとか、最近は長崎県の吉田俊道(よしだ・としみち)さんが提唱する「菌ちゃん農法」も話題だ(糸状菌などの微生物を中心に土づくりをする栽培法)。いずれも生態系を利用して野菜を育てる方法だが、そのへんの仕組みについては、私はよくわからない。目に見えないことを理解するのは、あまり得意ではないのだ。

私がやっているのは、もっと物理的なことだ。具体的には次のような方法である。なお、いずれも私の経験によるやり方であって、100%効果を保証するものではないことをご了承ください。

キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ

害虫:アオムシ、ヨトウムシなど
対策:苗を植えつけたらすぐに防虫ネットをかけ、物理的に害虫との接触を防ぐ。防虫ネットの中に食害があった場合は、侵入した犯人を捜し出して直ちに捕殺する。

05_防虫ネット_MG_0722

キャベツやブロッコリーは防虫ネットで害虫を防ぐ

ダイコン

害虫:ハイマダラノメイガ、カブラハバチなど
対策:幼苗が被害を受けると致命的なので、種まき後に不織布のべたがけ、または防虫ネットをトンネルがけする。株が育てば多少の害虫被害を受けても収穫に大きな影響はないため、不織布や防虫ネットは外す。

ダイコンは種をまいたら不織布をべたがけして幼苗を守る

ニンジン

害虫:キアゲハ、ネキリムシ(カブラヤガ)
対策:見つけたら捕殺する。防虫ネットをかけるほどではない。

キアゲハの幼虫はセリ科の野菜を好む。写真はアシタバ

カボチャ、キュウリ、スイカ、ズッキーニ

害虫:ウリハムシ
対策:幼苗が食害を受けると致命的なので「あんどん」で防除する。筒状に苗を囲ったあんどんは上が開いているが、ウリハムシは飛来しながら垂直に降下するのが苦手なようで、侵入は少ない。株が大きく育てば害虫に負けずに育つので対策は不要。

ウリ科の葉を食害するウリハムシ

ウリハムシの被害にはあんどんが効果的。気温が低い時期の保温や風よけにもなる

トウモロコシ

害虫:アワノメイガ
対策:アワノメイガは雄穂の花粉に誘われて飛来するため、受粉を終えたら雄穂をカットする。春の早い時期に栽培をスタートし、アワノメイガが発生し始める6月上旬までに受粉を終えるようにすると高い確率で被害を抑えられる。

アワノメイガが飛来する前に雄穂をカット

ソラマメ

害虫:アブラムシ
対策:秋に種まきするが、春になって草丈が大きく育つまでは防虫ネットをしておく。外したあとにアブラムシがついた場合は芽先ごとカットする。その段階で花芽がついていれば、芽先をカットしても収量に大きな影響はない。

ソラマメの芽先に群がるアブラムシ。こうなったら先端をつんで処分。放っておくと被害が広がる

トマト、ナス

害虫:アブラムシ、タバコスズメガ、タバコガ、ハダニなど
対策:アブラムシやハダニは、日当たりや風通しをよくし、健康的な環境で育てることで発生が少なくなるように感じている。タバコスズメガやタバコガは見つけ次第捕殺する。

トマトを食害するタバコガ。生育後半に発生しやすい

これらはいずれも、わが家で特に意識して防除している作物だ。ほかにはサツマイモやサトイモに発生するハスモンヨトウ、ナス科野菜の葉をかじるニジュウヤホシテントウなどもよく見られるが、いずれも基本的には見つけたときに捕殺すれば、被害が大きく広がることはない。そのためにも日々の観察が大事だ。

無農薬栽培で最も重要なのは「健康な環境づくり」

害虫対策については、幼苗の時期に被害を確実に抑えることがポイントだ。株がある程度大きく育てば、多少食害されても収穫に大きな影響が出ることは少ない。
また、害虫が発生しにくい環境を整えることも重要である。これは病気にも言える。そもそも薬剤を使わずに病気を抑えるには、できることはそれくらいしかない。病害虫の被害を防ぐ一番よい方法は、病害虫を発生させないことなのだ。
では、どうやってそういう環境を作るかといえば、具体的には次のようなことに気をつければいい。

いろいろな種類の野菜が育つことで、病気や害虫が出ても被害が集中することはない

  • 十分な株間をとり、日当たりと風通しをよくして育てる
  • 水はけが悪い畑では高畝にするなどして、水はけの改善を心がける
  • 連作を避ける
  • わらやもみ殻、ポリマルチ(私は使わないけど)で雨による泥はねや夏の乾燥を抑える
  • 肥料をやりすぎない
  • カマキリやテントウムシ、クモやカエルなどの天敵を大いに歓迎する
  • 害虫の発生時期とちょっとずらして栽培する

いずれも基本的なことだが、その基本を忠実に守ることが大切なのだと思う。実際、家庭菜園を始めたばかりの頃、限られた広さの畑にいろいろな野菜を育てたくて密植したら、病気や害虫の被害がひどかったし、連作をするとネコブセンチュウなどの被害が顕著に表れた。今のわが家の畑の一部はもともと田んぼで、水はけがあまりよくないのだが、そこではスイカやズッキーニがあまりよく育たないし、トマトなどは肥料過多が生育不良に直結する。

ただ、どんなに対策を講じても、病気や害虫を完全に抑えることはできない。果菜類などは生育後半になると株が疲れてしまい、どうしても被害を受けやすくなる。そうなったら切り上げだ。生育途中であっても、回復が見込めそうになければ、残念だがさっさとあきらめて次の作物に移るべきだ。それが賢明な判断だ。

アブラムシの被害を受けずに立派に育ったソラマメ

それから、よく言われることだが、生態系の豊かさも作物にとってよい環境なのだと思う。病原菌や害虫が存在する一方で、それを抑える有用菌や天敵がいれば、多少被害があっても大きく広がる恐れは少なくなる。薬剤などでそのどちらかを死滅させてしまえば、どこかでバランスが崩れ、ひずみが生じるように私は思うのだ。そして、そのひずみから新たに悪さをする別の何かが侵入してくるのではないだろうか。
大切なのはバランスだ。多少の被害には目をつぶってやろう。ちょっとくらい虫食いがあったっていいじゃないか。自然はわれわれが食べる分もちゃんと残しておいてくれるさ。それよりも私は、モンシロチョウがワルツを踊る春の畑を眺めていたい。

読者の声を投稿する

シェアする

  • twitter
  • facebook
  • LINE
  • Hatena
  • URLをコピー

関連記事

新着記事

タイアップ企画