調理法が変わるとお米の価値も変わる
今回使った新米は収穫から4ヶ月ほど経っています。そこで、玄米の状態での水分値がどう違うのか、測ってみました。
新米は、1回目15.4%、2回目15.6%、3回目15.4%で、3回計測の平均値が15.5%でした。
一方で古米は、1回目15.0%、2回目15.0%、3回目15.0%で、3回計測の平均値が15.0%でした。
1年間で平均水分値が0.5%減っているだけでなく、新米の状態のときは米粒によっては水分値がばらばら。この結果を見ると、貯蔵中に米袋の中で玄米同士の水分が移動して落ち着いた可能性がありそうです。これが食感の均一さと不均一さを左右する要因とも言えそうです。

右が2017年産、左が2016年産
日本のお米とイタリアのお米とはそもそも食味に影響する要素に差異はありますが、イタリアではリゾットに古米が重宝がられています。前述した藤田さんがイタリアで食べたビンテージ米のなかで最も古いのはアクエレッロ社の7年物。さらりとしておいしいリゾットに仕上がるそうです。
しかし、単純に年数を重ねればリゾットに合うというわけではなさそうです。
藤田さんによると「イタリアで熟成米を手がける『アクエレッロ社』では、お米に風をあてながら保存し、仕上げに糠をコーティングするなど、手間をかけて熟成させています。ただ古くなってしまっただけのお米とは異なります」。だからこそ、7年経ってもリゾットとして食べられるのですね。
白ごはんや酢飯でお米を食べることが主流の日本の文化では、そもそもお米をあえて7年も保管する必要がなさそうですが、少なくとも玄米のまま低温管理で1年経ったお米は新米よりもおいしく食べられる料理があるということが分かりました。ちなみに、アイホー炊飯研究所の平田さんは「2年経過してさらに水分値が落ちたお米」をリゾットに推していました。
食文化や調理法が変わるとお米の価値も変わる。普段なにげなく食べているお米ですが、角度を変えるとまだまだポテンシャルがたっぷりと秘められていそうです。
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