豊岡農業スクールの研修内容
豊岡農業スクールは毎年10月に募集を開始し、4月から研修が始まります。定員は3名で、市外からでも、市内に転入することで入校が可能です。
基本的に、研修期間は約3年ですが、毎年11月に行われる進路面談で、生徒の意思や技術・知識の習得状況、卒業後の経営方針等を鑑みて期間を決定するといいます。「就農の準備が整ったなどの理由から、卒業する方も多くいます」と森さん。
豊岡農業スクールの研修は、提携している農家のもとで研修を行う実施研修と、農業経営に必要な知識を学ぶ座学に分けられます。
実施研修は、受け入れ先の農家で、農畜産物の栽培・肥育技術や、農畜産物の加工・流通・販売などを学びます。
座学では市や県、JAなどの関係機関が実施する研修会などで、農業経営に関する技能や知識、そして農業技術について教わります。
また、「コウノトリ育む農法」についても講義が行われます。コウノトリ育む農法とは、豊岡市で行われている米作りの方法のこと。農薬や化学肥料を抑えて栽培を行ったり、コウノトリのエサとなる微生物が育つよう、稲刈りの終わった冬の水田に水を張ったりするなどして、人とコウノトリが共存できる環境作りを目指します。
「生徒の中にはコウノトリ育む農法に憧れて入校し、卒業後、同農法に取り組む人もいます」。
高齢化が進む集落で農家の担い手に スクール卒業生の活躍
豊岡農業スクールの卒業生は現在9人で、うち2人が雇用就農、7人が独立自営就農という形で、市の農業に携わっています。
2017年3月に卒業した2人の生徒の例を紹介しましょう。
奈良県出身のAさんは、神戸市で行われた就農相談会で豊岡市のことを知り、コウノトリ育む農法で米作りがしたいと思うように。夫婦で豊岡市に移住し、1年間、コウノトリ育む農法での米作りや、野菜の栽培、自家製の鶏卵を用いた料理を提供する食堂の経営など、幅広い事業を手がける大規模農家のもとで実施研修を受けました。
卒業後は、高齢化が進み後継者がいないと困っていた集落で就農し、コウノトリ育む農法での米作りと、豊岡市の特産品であるピーマンの栽培を行っているそうです。
豊岡農業スクールの生徒の中には、米や野菜の栽培のほか、畜産関係への就農を希望している方もいます。
市内在住のBさんは、ご主人が但馬牛の繁殖農家として独立自営就農を始めたことを機に、夫婦で牛飼いをしたいと思うようになりました。そこで、女性初の研修生として2年間農業スクールに通い、但馬牛の飼育農家のもとで実施研修を受けました。卒業後は、ご主人と3人の息子さんとともに、約10頭の但馬牛を飼育しているといいます。