ドクダミとはどんな植物?

乾燥させるとお茶になる
ドクダミはドクダミ科ドクダミ属の多年草です。ドクダミという言葉は「毒を抑える」という意味を持つという説があり、毒があるわけではありません。独特の香りを苦手とする方も多いですが、加熱すると和らぐため、天ぷらなどにして食べられることもあります。また乾燥させてお茶にして飲まれることもあります。
このドクダミは日当たりが良い場所よりも半日陰な場所を好んで生えてきます。地中で地下茎という根のような茎を横に伸ばして広がって行くため、地上部を刈っただけではまたすぐ生えてきて、畑に生えてくる場合は厄介な雑草の一つになります。
ドクダミが生える畑の地力レベルは?
地力 | 特徴 | 生えやすい雑草 | 適した野菜 |
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レベル4 | ほとんどの野菜が少肥料でも育つ | ハコベ、ホトケノザ、オオイヌノフグリなど | ナス、ピーマン、キャベツ、ハクサイ、タマネギなど |
レベル3 | 肥料を入れることで、大体の野菜の栽培が可能 | スベリヒユ、カラスノエンドウ、ノボロギク、ツユクサなど | ミニトマト、キュウリ、ニンジン、ダイコンなど |
レベル2 | 栄養の絶対量が少ない | ドクダミ、スギナ、ハハコグサ、シロツメクサなど | サツマイモ、ダイズ、エダマメ、ジャガイモなど |
レベル1 | 土が硬く痩せている | セイタカアワダチソウ、ヨモギ、チガヤなど | ヒエ、アワ、タカキビなど |
畑にどんな雑草が生えて増えるかは、その畑の地力(ちりょく)レベルに左右されます。地力とはその土地が持つ植物を育む力のことです。上の表は地力レベルの最高を4として4段階で分けた時に、どの地力レベルでどの雑草が生えやすいかを便宜的に分類したものになります。つまりそこに生えている雑草を調べれば、その畑の大体の地力レベルを推測することができます。また地力レベルを上げることによって、生える雑草を意図的に変えていくこともできます。この診断方法についてや地力レベルについての詳細は、「雑草で診断!その土で野菜は育つのか?【畑は小さな大自然vol.7】」の記事をご覧ください。ただしこの診断方法は学術的に確立されたものではありませんので、あくまでも目安程度にしてください。
ドクダミをこの地力レベルで分類するとすればレベル2にあたると考えています。この段階では土が痩せていて、酸性に傾いていることが多く、育ちやすい野菜が限られてきます。ドクダミの多い畑では土作りも合わせて行い、地力レベルを上げていきましょう。
ドクダミ対策で最も大切なことは?
畑のドクダミ対策としては以下の3つを合わせて行うことが大切になります。
① 地下茎を掘り出す
② 畑の地力レベルを上げる
③ 日当たりのよい環境に変える
① 地下茎を掘り出す
まずはシンプルに地下茎を掘り出すことです。地下茎は、他の植物が近くに生えないようにする化学物質を出す働きを持っています。この働きをアレロパシーと言い、これにより多くの野菜はこのような地下茎雑草とは共存がしにくくなります。逆にジャガイモや里芋、ショウガのような地下茎野菜は自分自身もアレロパシー作用を持つため、このような地下茎雑草に対抗しやすい性質があります。地下茎雑草が多い畑ではこのような地下茎野菜を植えるのも一つの手です。
② 畑の地力レベルを上げる
畑の地力レベルを上げることで、ドクダミのような地下茎雑草は割合を減らしていきます。ドクダミが生えやすい地力レベル2の段階から、レベル3へ上げていくためのポイントは以下の2つだと考えています。
1)土を中和する
ドクダミが生える場所は、土が酸性に傾いていることが多いと言われています。もちろん例外もありますので、ドクダミが多い畑でしたらまずは酸度計などでpHを測ってみましょう。酸性に傾いている土壌を中和する資材としては、家庭用であれば貝の殻などから作られる有機石灰や木を燃やした灰などが失敗が少なく使いやすいです。
2)有機質を増やす
レベル1〜2の段階では豊かな土壌の元となる有機質が少ない状態です。有機質とは、生物の死骸や排せつ物などが微生物などの働きによって分解されてできたものです。牛ふんや馬ふんなどをベースに作られた動物性堆肥や、落ち葉・雑草などから作られる植物性堆肥などに多く含まれています。特に植物性堆肥には、土の中で栄養素のタンクのような働きをする「腐植」と呼ばれる物質が多く含まれているので、これをベースとして使うと地力が早く上がりやすいです。ホームセンターなどで売られている腐葉土も腐植が多いのでオススメです。雑草や落ち葉を使った堆肥の作り方については以下の記事をご覧ください。
③ 日当たりのよい環境に変える
ドクダミ対策として最も大切なのはこの3つ目になります。ドクダミは日陰の多い場所に生えますので、そもそもその場所の日当たりを良くしていかなければ、いつまでもドクダミの生えやすい環境のままであることに変わりはありません。建物によって日陰になっている場合など、場所によってはどうしようもない場合もありますが、動かせるものや樹木などによって日陰になっているのであれば、できる限り日当たりを良くしてあげることで、ドクダミが生えにくい環境に変わっていきます。
日当たりの良し悪しが重要な条件
今まで紹介してきた他の多くの雑草対策としては、地力レベルを上げていくことが根本的な対策として共通していました。しかしドクダミ対策にはさらに日当たりという要素が大きく、ここをなんとかしなければ根本的な対策にはなりません。どうしても日当たりを良くできないというような畑の場合は、日当たりの良い場所を好む野菜を植えたとしても、ドクダミなどの雑草に負けやすくなります。いっそのこと半日陰でも育ちやすいミツバ、ミョウガ、ショウガ、ニラ、ミント、レモンバームなどを育てた方が楽ですので、ぜひそのような野菜を優先的に選んで育ててみましょう。
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