家族以外から事業継承 「継ぎたい農業」を次世代へ
Profile
農業を継ぐ家族以外から事業継承
「継ぎたい農業」を次世代へ
野見山 絵美(のみやま・えみ)さん
北海道三笠市で、ミニトマトやメロンなどを栽培する野見山さん。海上保安庁職員養成学校の学生を経て、農業体験で出会った農家から農地や家を丸ごと承継されたという、新規就農者としては異色の経歴の持ち主です。年々増収し、新規就農者のお手本的存在に。
- 作っているもの
- ミニトマト、メロン、カボチャ、トウモロコシ
- 働いている場所
- のみやまファーム
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Q1就農のきっかけは何ですか?
就農前は、海上保安庁養成施設の学生や保育士として働いていました。母方の実家や別の親戚が農家だったりと農業は身近な存在。元々土作りが好きで、興味はありました。2005年、農業担い手育成センターに10日間の農業研修を申し込みました。紹介先は、三笠の山崎ワイナリー。空き時間にワイナリー隣の農園で手伝いをしていました。その農園の親方から、「跡継ぎがいないので、農業をやる気があるなら、うちを継がないか」という電話をもらいます。新規就農では珍しく、土地や住居がそろった状態で就農しました。一緒に農業を営む夫とは、海上保安庁の養成施設・海上保安大学校で出会いました。夫は異動のタイミングで退職し、1年の研修を経て就農しました。
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Q2現在力を入れている取り組みを教えてください。
地域の部会の方針で、近隣の農家が多く作っているのはミニトマトです。部会の勢いを維持すべく、たくさん作ることに注力しています。2反ちょっとのハウスで作っているのは、「キャロルスター」という品種を中心に、赤だけではなく黄色やオレンジ、紫や緑、ピンクなど30種類のミニトマトたち。ミックスして、「いろいろトマト」という名前で通信販売しています。色々育てると楽しいからという理由もありますが、さまざまな品種を育てることで、栽培技術の向上への近道にもなると考えています。現在は畑を拡大、増収中です。
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Q3家族以外からの事業継承という就農にあたって、気を付けるべきこととは?
事業継承は、農地の良いところ、悪いところをすべて受け継ぐということです。厳しい言い方をしてしまうと、子どもが継がない農業にはその理由があります。メリット・デメリットは自ら把握し、自分たちに必要な広さの土地や道具は何かを考えることが大切だと思います。
私たちが引き継いだのは、石狩平野を見下ろすことができる山の上にある農地で、水の確保に苦労する人が多い土地だったと聞きます。先代は、敷地内に自分たち専用の巨大なため池を作りました。これまでシーズン中に枯れたことはないそうです。先代からは栽培技術だけではなく、こういった水のこと、風のこと、そして“畑のクセ”も学びました。引き継いだものは活用し、維持発展させたいと考えています。
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Q4農業をやっていて良かった、と思う瞬間は?
自分で食べものを作れることと、自分で作ったものから、割と直接的にお金を頂けるということを実感するときです。自然の中での仕事、そこに子ども(家族)も一緒にいられる環境も大好きです。
1日のスケジュール
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Q5今後、農業を通して叶えたい夢は?
自分の子どもたちでも、他所の若者でもいいので、次の世代が「やりたい」「継ぎたい」と思える農業を目指したいです。そのために売り上げを増やして法人化するなど、経営しやすい農業体になることがいまの世代の務めだと思っています。農業に就くことが決して特別なことではなく、職業選択の一つの形として世の中に認められるために、異業種から参入した者として頑張っていきたいです。
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農業女子あるある
「綺麗な手だね」と言われるけれど、汚れないように気を付けてるんです!
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特技
仕事の段取りを組むことは得意です。組んだ後に12人のスタッフに、しっかりと説明することを意識して、効率よく仕事をしています。
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必須アイテム
日焼け止めと帽子、ビニールの手袋です!
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私の癒し
12歳、9歳、1歳の子どもと過ごす時間です。息子が所属する野球チームの応援には、ついつい熱が入ります。
農業の嫌いなところとは?
私は、ピンポイントで言うとカボチャの収穫です(笑)あと、時に安くなりすぎる野菜の価格を、どうすることもできないところ……
天候にふりまわされて、自分の時間がスケジュール通りにいかないところ。