酪農家の娘から
農家の嫁へ
農家の嫁の意識を変えたい! 地域を盛り上げる農業経営者
Q1.農業を始めたきっかけは何ですか?
正直、「農家には嫁ぐまい」と思っていたんです。母親は育児と家事をしながら酪農もしていましたが、家計は父と祖父が管理しており、必要なものは都度申し出ていました。もちろん給料もありません。そんな苦労や大変さばかりが印象にあって、嫌だなと思っていました。
それでも農業を選んだのは、主人となら一緒に農業経営ができると確信したから。そして、主人の作る作物がおいしくて、たくさんの人に食べてもらいたい!と思えたからです。
卒業後、準備期間を経て主人の地元の兵庫県に移り住みました。義父母は、農地をどう使い、何を作るかを全て任せてくれたので、ハウスを建ててメロンを作ったり、販売先を開拓したりと試行錯誤しながら始めました。
Q2.作物はどうやって決めましたか?
収量が足りず市場出荷が出来ないので、直売所向けに消費者人気の高いトマトを作っています。また、北海道の「札幌キング」という赤肉メロンに惚れ込んで、兵庫でも美味しいメロンを作りをしたい!と思い、栽培しています。その他、未整備田など土地の特性を考えて作物を考えています。
Q3.土地はどうやって決めましたか?
義父母から継いだ土地に加え、近隣の地権者から利用権を設定し借り受けた土地で営農しています。
Q4.師匠は誰ですか?どうやって修業しましたか?
トマトの栽培技術を教えていただいている宝塚市の中西ハウスセンターのご夫婦。メロンの師匠は夕張郡にある北海道日原さん。今でも定期的に訪れては、栽培技術や品種の特性について勉強させてもらっています。
Q5.助けになっている存在は?
師匠・中西さんの奥様です。駆け出し農家の頃は余裕がなく、畑と家との往復で毎日いっぱいいっぱいでした。そんな私を見て、農家の集いに連れて行ってくれたんです。そこでは、苦労を共有しながらも決して悲観的にならず、助け合えることがないかと活発に意見交換をする農家がたくさん集まっていました。前向きに農業をしている人たちと出会えたことで、「農業を楽しいと言えるようになりたい!」と気持ちが大きく変わりました。今でも公私共にお世話になっており、恩人です!
Q6.農業をやっていて良かったことは?逆に良くなかったこととは?
とにかく天候に左右される点が大変です。台風が来ると聞けば、家で休んでいても急いでハウスに行き、屋根やサイドを全て取って崩壊を防いだり……。被害に合って落ち込むこともあります。それでも、私達が作ったものをお客様が待っていてくれ、おいしいと言ってもらえることが本当に嬉しいです。好きな作物を好きな場所で作り、売り方も自分で考えて工夫できる、素晴らしい仕事だと思います。
Q7.「農業女子あるある」といえることは?
封建的な農業の世界では、農業女子も「出る杭は打たれる」はあるある。けれど、出過ぎると打たれなくなります(笑)。そこまでが大変!
農業経営をするうえで、「何をどうやって売るか」はとても大事。そのために何に力を入れて何を省くかも変わるので、常に勉強。学びは多いです!
Q8.おすすめアイテムを教えてください。
ヤケーヌ。熱がこもらず眼鏡も曇らないので日差しが強い日はマストアイテムです。
北海道出身。酪農家の長女として生まれ、跡を継ぐために入学した農業専門学校で現在のご主人と出会い、農家の嫁になることを決意。
農業経営や販売戦略も担い、女性農業経営者が集まる「ひょうごアグリプリンセスの会」初代副会長として、各地で講演も行っています。