ホウレンソウはムラのない灌水が命
富田さんが経営する富田農園があるのは、栃木県日光市の鶏頂山開拓地。標高1200mの冷涼な気候をいかした高原野菜の生産地です。富田さんはハウス150棟、面積にして約4haの大規模な圃場で、夏ホウレンソウを栽培しています。冬期は約1.5mの積雪がある豪雪地帯。雪解け後の4月から11月の上旬まで、ハウス1棟につき平均3回の作付けをします。
「ホウレンソウは水やりがすべて。どんな肥料を与えるかよりも、水が均一にかかることが大事なんですよ」と富田さんは話します。収穫を効率的に行うためには、ハウス内の作物の生育差をなくすことが重要です。水がかかりにくい場所があるとそこだけ作物の生育に遅れが出て、一斉に収穫することができません。灌水資材にはいろいろな方式がありますが、例えばスプリンクラーでは円状に散水されるため、円が重なる部分に水が多くかかる一方で、円の外の隙間にはほとんど水が届きません。
そこで、富田さんが選んだのは、住化農業資材のハウス用灌水チューブ『ミストエース』です。独自の穿孔技術による霧雨のような水が特徴で、ハウスの両サイドから長方形に散水するため、全体にやさしくムラなく水を与えることができます。さらに画期的な穿孔方法と設置方法を実現したのが、2018年にリリースされた新製品『ミストエースSナイアガラ』です。富田さんは、買い替え時期を迎えた資材から順にナイアガラに交換し、今シーズンまでにハウス8棟へ導入しました。
「ハウス内にやさしい水を均一に撒きたいという要望に応えたのが、『ミストエースSナイアガラ』です。霧雨のようにやさしい水は作物を傷めず、土を固めることもありません。葉物野菜や水稲などの育苗に最適です」と、住化農業資材株式会社灌水資材部の部長、馬場信弘さんは自信を持って『ミストエースSナイアガラ』をお勧めします。
新しい穿孔方法と高所設置でハウスの灌水に新風
「土跳ねしない細かな水で灌水するのが当社のチューブの特徴です。『ミストエースSナイアガラ』は新たな穿孔方法でチューブの下までやさしく細かな水が届き、高い位置からの両サイド灌水で霧雨状にまんべんなく散水できます」と話すのは、東日本営業所の波多野秀岳さん。チームマネージャーの出口卓さんと共に製品導入のサポートにあたっています。
ホウレンソウの播種から収穫までは約1カ月。富田さんは、1日にハウス3~4棟ずつ播種をします。前日に20~30分間の灌水をして、翌朝、土壌にロータリーをかけて播種した後に1時間の灌水。その後は、長年の経験で天候や作物の様子を見ながら4~5日に1度、5~20分間の灌水を行います。収穫の1週間前からは水を与えません。出荷後の作物の棚持ちをよくするためです。濡れた土は固くて鎌が入りにくいため、乾かすことで作業性もよくなります。
「高い位置にチューブを設置できるようになったので、トラクター作業がしやすくなりました」と富田さん。従来の高さではトラクターのヘッドがチューブに当らないように注意する必要がありました。これで、ハウスの隅々までトラクターで耕すことができます。
富田さんは単棟ハウスに『ミストエースSナイアガラ54』を設置していますが、『ミストエースSナイアガラ』シリーズは、高所設置のため、連棟ハウスの谷下の作業や行き来が楽になったという声も聞かれます。
高所設置によって用途も広がっています。「栃木県ではイチゴの育苗にベンチを使うので、高所設置によって水がかかりやすくなりました」とは出口さん。ホウレンソウ、コマツナ、ネギ、ミズナ、シュンギクなどの葉物、水稲などの各種育苗、イチゴや切り花などの定植後の活着促進用など、さまざまな作物に適しています。
『ミストエース』は、灌水チューブの両端に固いマチがあります。従来はチューブを横の状態に設置していましたが、『ミストエースSナイアガラ』は縦に設置することによって、チューブのたわみが少なくなり、より均一的な散水が期待されます。縦に設置すれば、豪雪地帯で雪の重さを受けにくく、チューブの高さを超える積雪があった場合でも高所に設置しているぶん加重が低減されます。
このように、現場からのさまざまなフィードバックが、『ミストエースSナイアガラ』の開発に生かされています。
生産者と共に歩み、期待に応え続ける
富田さんは豊富な地下水を灌漑用水として使っています。井戸からくみ上げた水は、『SNZファインフィルター50』でろ過して各ハウスに送られます。
「細かいゴミを除去することでチューブの目詰まりを軽減できるので、フィルターの使用をお勧めしています」と波多野さん。旋回流によってフィルター内の水の流れを分散させ、補集物が特殊繊維メッシュの表面に付着しにくくすることで、ろ過面積を有効に活用して圧力損失を軽減。洗浄しやすいことも特徴です。
また、潅水タイマーを使用することで、灌水作業の省力化が可能となります。
波多野さんは、「住化農業資材の『よくばりタイマーⅢ』は、アナログタイマーを採用することで、かんたんな操作で設定でき、かつ設定状況が一目でわかる、非常に扱いやすい点で好評をいただいている製品です」と製品ラインアップについて話してくれました。
灌水チューブは、比較的簡単に設置できることも魅力です。『ミストエースSナイアガラ』もまた、専用の吊具を組み立てて自分で設置できるので、専門業者に施工を頼む必要はありません。肩の高さで作業ができ、腰をかがめる必要がないので体への負担が少なく作業性がいいと言う声が多いそうです。
「従来品との入れ替えなので撤去作業もありましたが、新規に設置するならそれほど手間はかからないでしょう」と冨田さん。自分で設置した感想を聞かせてくれました。
富田さんの祖父がホウレンソウ栽培を始めたのは1973(昭和48)年。灌水技術の進化が規模拡大と作業効率化に貢献し、収量と品質の向上を支えてきました。
ホウレンソウが生育中のハウスで『ミストエースSナイアガラ』の灌水の様子を見せてもらいました。ハウス両側の水栓バルブを開くとチューブに水圧がかかり、噴霧された細かな水がハウスの隅々まで濡らしていきます。その様子は、まさに霧雨のようです。
農家の課題やニーズを聞いて開発された『ミストエースSナイアガラ』に、富田さんも満足している様子です。灌水で農業は変ります。困りごとや改善したいことがあれば、住化農業資材に相談してみてはいかがでしょう。最適な答えがみつかるはずです。
動画『住化農業資材 ミストエースSナイアガラ』
【住化農業資材ホームページ】
『ミストエースSナイアガラ』の詳細情報はこちらをご覧ください
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