今や全国区ブランドの『南郷トマト』。産地の若きリーダーに聞く、地域ブランドの未来

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今や全国区ブランドの『南郷トマト』。産地の若きリーダーに聞く、地域ブランドの未来

今や全国区ブランドの『南郷トマト』。産地の若きリーダーに聞く、地域ブランドの未来
最終更新日:2020年07月31日

市町村が主体となって農産物ブランドを作り上げる主な目的は、地域活性化と農業振興です。有利販売を実現することで農家所得の向上を図り、地域全体の生産力増強に結び付けることができます。
福島県南会津地域の『南郷トマト』もその1つ。
南会津ブランドの筆頭であるその美味しさは全国の市場で高く評価されています。
それを支えているのが生産者の緩みない努力とそれを後押しする生産体制。
現状とこれからの課題、新規就農者が成功するためのメソッドをご紹介します。

若きリーダーに聞く、『南郷トマト」誕生秘話

知る人ぞ知る秀品農作物の産地「福島県南会津地域」。
寒暖差や豊富な雪解け水などの恵まれた環境下では『南郷トマト』をはじめ、『田島のアスパラ』、『猿楽台地のソバ』といった「南会津ブランド」と呼ばれる極上の農作物が育まれています。

なかでも2006年に地域団体商標の商標権を得ている『南郷トマト』は、その品質の高さから一部では「日本一のトマト」とも呼ばれています。

『南郷トマト』が誕生したのは1962年のこと。
旧南郷村(現南会津町南郷地区)で栽培が始まり、現在は只見町、南会津町、下郷町の3町の生産組合が生産したトマトで、「南郷トマト選果場」から選別出荷されるトマトのみが南郷トマトの名称で販売することができます。

「もともと南会津地域は水稲栽培だけの土地でした。生産者の所得向上を目指し、新たな特産品をと、トマトが作られるようになったそうです」。

福島県南会津郡『南郷トマト』の生産者馬場相任さん

2019年に南郷トマトを専門に生産する『株式会社とまっteファーム』を設立し、地域農業の課題を解決に奔走する馬場さん

と、話す馬場相任(ばば・そうじん)さんは南郷トマトを専門とした農業法人『株式会社とまっteファーム』を2019年に設立。
南郷トマト生産組合の理事、福島県青年農業士会の会長も務める若きリーダーです。

地域が誇れる地場産品を創出しようという試みは徐々に広がり、生産者の緩みない努力と愛情によって南郷トマトは地域を代表する特産品へと発展。

そのみずみずしい果肉と爽やかな甘みを求め、全国の市場からの引き合いが後を絶ちません。

そんな生産者を支えているのが2004年に完成した東北最大級として名高い『南郷トマト選果場』です。

内外部品質センサー及び自動箱詰めロボットなど最新の機能を備えた選果場では、トマト1つ1つが丁寧に選果され、全量雪室で予冷をした後、年間約70万ケースを全国7つの市場へと供給しています。

福島県南会津町の『南郷トマト選果場』

内外部品質センサー及び自動箱詰めロボットなど最新の機能を備えた選果場。ここで選果され出荷されたものだけが『南郷トマト』の名称で販売することができます

「今でこそ『南郷トマト』は地域ブランドとして知られていますが、品質と安定収量を確保するために、先人たちは並々ならぬ努力をしてきました。私たちはその意思を受け継ぎ、地域の財産として受け継いでいくことが使命だと思っています」。

先進的な農家を講師に招いて勉強会を開催するなど南郷トマトの品質向上、さらには生産者の所得向上に向け、積極的に活動する馬場さん。

福島県南会津郡『株式会社とまっteファーム』のトマトハウス

『株式会社とまっteファーム』のトマトハウス。水はけを良くするために耕起から手掛けました

すべては南郷トマトを絶やさぬためにー。
しかし、そこで課題となってくるのが「担い手の確保」です。

冬場の収入を確保し、栽培技術を継承する仕組み作りを

越後山系から連なる帝釈山を最高峰とする山に囲まれた南会津地域は、良質なパウダースノーが自慢のスキー場を多く有しています。

そのため、冬場の収入源としてスキー場での仕事に就く生産者が多く、年間を通し安定した収入を得られるのも地域の強みです。

夏はトマト、冬はスキー場で収入が得られるため、若手生産者はスノーボーダーからトマト生産を始めた人が多く、今でも冬はスノーボードを楽しんでいます。

ところが、ここ数年の暖冬からスキー場経営は厳しい状況に。
さらに2020年の今年は新型コロナウィルス感染症の拡大によって、冬の観光業への影響は避けられないことが予想されます。

「冬場の収入をどう確保するか、これが一番の課題です。生産者のなかには6次産業を行っている人もいますが、安定収入とまではいかないというのが本音のようです。私自身も菌床キノコ栽培を検討してみたものの、設備投資がかかることや、技術習得までに2〜3年の時間を費やすことを考えるとうかつに手を出せない状態です」。

馬場さんは真骨頂である南郷トマトの生産量を増やして収入を蓄えることが現実的と分析します。

福島県南会津郡の『株式会社とまっteファーム』の馬場さんと、栽培中の南郷トマト

自身のトマトハウス内で南郷トマトの歴史や生産にかける思いを語ってくれた馬場さん

「ここ10年をみても南会津は新規就農者の定着就農率が高い地域です。反面、高齢から離農する人も一定数いるため、トータルで見ると担い手不足解消とまでは言い切れないのが現状です。ベテラン農家が培ってきた技術を新たな担い手に継承する意味でも研修生を積極的に受け入れていきたいと考えています」。

現在、馬場さんの元には独立就農を目指し、東京から移住した落合宏明(おちあい・ひろあき)さん、来海(くるみ)さん夫妻が研修生として南郷トマト栽培に携わっています。

彼らが南会津、そして南郷トマトを選んだ背景には、地域に根付く支援体制がありました。

研修開始から独立就農までしっかりサポート

東京から南会津へ移住して『南郷トマト』生産の担い手になるべく研修を受けている落合夫妻

東京から南会津へ移住し『南郷トマト』生産の担い手になるべく、研修を受けている落合夫婦 (左)落合弘明さん (右)落合来海さん

福島県二本松市出身の落合宏明さんは、2011年の東日本大震災以降、福島のために何かできることはないかと模索していました。
雇用ではなく、自分で事業をやりたいという長年の思いも後押しとなり就農を決意。

南会津を選んだ理由について、新規就農者を支援する土壌がしっかりしていたからと話します。

「最初の2年間、地域のベテラン農家で研修を積んだ後、スムーズに独立就農できるよう農地の確保のための支援があります。南郷トマトの栽培は簡単ではありませんが、手厚いサポート体制のおかげで技術や知識の習得に集中することができています」。

落合夫妻を研修生として受け入れるにあたり、馬場さんは農家としてやっていく心構え、冬場の収入確保、さらには都会にはないご近所付き合いのなどリアルな農家の暮らしを伝えたと話します。

「農業で生計を立てることは簡単なことではありません。厳しい基準が設けられている南郷トマトを育てるためにはベテラン農家とコミュニケーションを図りながら地域活動に参加し、土地に根付くことから始まります。その上で経験を積み、技術をしっかり身につけて欲しいですね」。

新規就農者の住環境は、町が紹介・斡旋する制度があるものの、空き家の多くは老朽化が進み、町営住宅の完成が待ち望まれています。
また、トマト栽培に適した土地の整備なども行政に期待したいと馬場さんは言葉を続けます。

「課題はありますが、南郷トマトはやった分だけ稼ぐことができる作物です。これまでは生産者の所得向上が主な目的でしたが、今後は収量を増やして販路を拡大し、南郷トマトで交流人口を増やす仕組みを作って地域全体を盛り上げていきたいですね」と、今後の展望を話してくださいました。

福島県南会津郡『株式会社とまっteファーム』のトマトハウス内で笑顔の馬場さん

取材の最後、ハウス内での撮影をお願いすると照れ笑いで応えてくれた馬場さん。地域農業の振興と担い手育成において頼れるリーダーです。

真っ赤な宝石のような輝きを放つ南郷トマトは南会津地域の宝。その大切な財産の継承は次世代の担い手にかかっています。

ぜひ、南郷トマトで「稼ぐ農業」を実現しませんか?南会津のベテラン生産者が、あなたの挑戦を待っています。

■取材協力■

株式会社とまっteファーム
〒967-0622
福島県南会津郡南会津町宮床字居平519-1
TEL:0241-72-2747

福島県就農支援情報サイト「ふくのう」もご覧ください

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