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生産から販売までの一貫体制で「花」のニーズに応える! 若き就農者が目指す、花き農家の新しいビジョンとは

生産から販売までの一貫体制で「花」のニーズに応える! 若き就農者が目指す、花き農家の新しいビジョンとは

暮らしに彩りを添える「花」。
贈る側も送られる側も心が豊かになるそれらは「花き農家」によって大切に育てられ、私たちの手に届きます。
そんな花に魅了され、農業法人を設立した二人の若きファーマーがいます。
福島県南相馬市で出会った彼らの言葉からは、花への愛情と花き農家として歩む決意、さらには経営の安定化に向けた確固たるビジョンがありました。

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二つの合同会社を運営する、元アスリートの挑戦

福島県浜通り地方の北部に位置する人口約7万人の南相馬市。
太平洋に面し、夏は海から吹く「やませ」の影響で比較的涼しく、冬は降雪が少ない穏やかな気候が特徴です。

そんな南相馬市で『プランテーション小高合同会社』を運営する伊東直樹(いとう・なおき:27歳)さんはJリーガーを目指していた生粋のアスリート、セカンドキャリアとして農業の道を選択しました。

福島県南相馬市小高区の『プランテーション小高合同会社』を運営する伊東直樹さん

福島県南相馬市小高区の『プランテーション小高合同会社』を運営する伊東直樹さん

「自分の中でサッカーがなくなったときに、自分の人生を考えるようになりました。その際、自分で稼いで人に喜ばれる仕事をしたいと思うようになり、農業を生業にすることを決意しました」。

福島県内の銀行を退職し、公私共にパートナーである婚約者の菊地沙奈(きくち・さな:28歳)さんと共にカスミソウの産地として知られる福島県昭和村を訪れた二人は、生産者のカスミソウ栽培にかける情熱、花の美しさを前に、花き農家として歩む決意をさらに固めます。

2017年から昭和村でのカスミソウ栽培の研修を始め、ベテラン生産者からたくさんのことを学び吸収しました。
そして2人のあくなき探究心と勤勉な姿勢はやがて実を結び、2018年に『昭和農園合同会社』を設立しました。

福島県南相馬市の『プランテーション小高合同会社』の菊地沙奈さん

福島県南相馬市の『プランテーション小高合同会社』の菊地沙奈さん

昭和村は菊地さんの母方の故郷であることから昔からの知り合いはもちろん、地域住民、生産者、行政、種苗メーカーとさまざまな人の支えがあったと伊東さんは話します。

「花の知識は全くない自分たちに生産者さんを始め、多くの人が本当に親切に教えてくれました。人とのつながりがこんなにありがたく、心強いと感じたことは初めてかもしれません」。

カスミソウの名産地として知られる昭和村ですが、冬は2mもの雪が降り積もる豪雪地帯。
カスミソウの生産は夏に限定されます。

そのため、カスミソウだけで年間の所得を得るのは難しく、伊東さんと菊地さんは新天地を求め、花き栽培に適した県内のほ場を探すことに。
そして辿り着いたのが、積雪がほとんどない温暖な気候の南相馬市でした。

南相馬のほ場で栽培された色鮮やかなキク

南相馬のほ場で栽培された色鮮やかなキク

「南相馬市は二人とも縁もゆかりもない土地ですが、サポートして下さったみなさまのおかげで、素晴らしいほ場を借りることができました」と伊東さんは当時を振り返ります。

そして2019年秋、離農した農家のほ場、倉庫をそのまま借り受けて、南相馬市での花き栽培がスタートしました。

やりたいことを「言葉」にし、行動すること。それが私たちのモットー

南相馬市小高区に誕生した新たなフィールドは『プランテーション小高合同会社』と名付けられ、2019年秋、カスミソウの定植をスタートしましたが、思うようにいかず頭を悩ませたと伊東さんは当時を振り返ります。

「昭和村で教えていただいたことをやっても、気候や土壌が違うため同じようには育たず、かなり苦戦しました。解決の糸口を探るため、冬場の花きの産地である熊本に出向き、生産者さんに技術や栽培に関する知識を教えてもらいました」。

この言葉からもわかるように、若い二人の最大の強みは「行動力」。
やってみないとわからない、まずはやってみようというポジティブな精神は、周囲の人の心を動かします。

2人のモットーについて語る伊東さんと菊地さん

これまでの歴史を振り返りながら、2人のモットーについて笑顔で語る伊東さん(左)と菊地さん(右)

「精神論になってしまうかもしれませんが、やりたいことを口にするって大切だと思うんです。口に出すことで自分自身にも責任感が生まれ、周囲からのサポートを受けることができます。もちろん、そのためには行動も伴わなければ意味がないので、言葉にしたからには全力で挑む、これが私たちのモットーなのかもしれませんね」(菊地さん)。

現在、『昭和村農園』は社員に任せ、プランテーション小高を社員3名、アルバイト5名で運営。
取材に訪れた8月上旬はお盆に向けたキクの収穫を終え、秋からのカスミソウ栽培の準備が進められていました。

定植を待つカスミソウの苗

風通しが良い作業倉庫のウッドデッキで、定植を待つカスミソウの苗

「新型コロナウィルス感染症拡大の影響で、贅沢品である花の需要は落ち込むのではないかと懸念していたのですが、価格や出荷数にそれほど影響はありませんでした。こんな時代だからこそ花を飾ろう、お盆にはご先祖に花を供えよう、そんな心の声が聞こえたようでとても嬉しかったです」(伊東さん)。

暮らし方、働き方が変わりつつある今だからこそ、花を愛でる豊さを持ち合わせていたいー。

そんな思いが私たちの心には宿っているのかもしれません。

E Cサイトでニーズに合わせた花を販売。一貫体制の強みとは

現在、「カスミソウ」、「キク」、「ラナンキュラス」などの花を市場で直接取引をしている同社ですが、生産から販売までの一貫体制を整え、顧客と直接つながる販売形態「ECサイト※1」の構築を進めています。

その理由は、生産者の思いをエンドユーザーに届け、ニーズに合わせた形態で花を届けたいという思いがあると菊地さんは話します。

「多くの人が花屋さんで花を購入しますが、生産者の顔は見えません。生産者もまた、購入してくださるお客様の顔が見えません。その両方をつなぐことで花を育てる私たちの思いを伝えることができます。どんな人がどんな思いで、どんな風に飾ってくれるのか、その思いをくみながら花を育てていきたいです」。

南相馬市小高区のほ場。栽培しているキクの前で今後の夢について語ってくれた菊地さん

南相馬市小高区のほ場。栽培しているキクの前で今後の夢について語ってくれた菊地さん

花が育つ過程を伝え、季節の花でブーケを作り、届けたい。
二人にはそんな夢があります。

もちろん、経営には安定した収益の確保が命題であり、必須の条件となります。
スタッフ、ほ場などの限られた条件で利益を上げるためにも、収益率が高い花は安定した経営につながると菊地さんは分析します。

「安定した経営には市場価格を見据えた花の選択が必要不可欠です。また、夏場は昭和村、秋以降は南相馬市とほ場を二つ持つことで、年間を通して収益を得ることが可能です」と、経営者としての頼もしい表情を見せてくれた伊東さん。

そして、パートナーである菊地さんと見据えるもう一つの目標が、「農業振興」です。

「農業は若い人が率先してやるべきです。自分が実際やってみて感じたのは、農業ってやりがいと生きがい、どちらも感じられる素晴らしい仕事。泥臭い、ダサい、という負のイメージが先行しがちですが、おしゃれな作業着やスタイルを示すことで、楽しい農業を発信していきたいですね」(菊地さん)。

青空の下で鮮やかな色が映えるカスミソウ

青空の下で鮮やかな色が映えるカスミソウ

エネルギッシュな二人からあふれ出す情熱と、冷静な経営手腕。
その背景には伊東さんはサッカー選手として海外を遠征、菊地さんは学生時代を中国で過ごした、グローバルな視点があります。

取材を進めるうちに思い浮かんだ「有言実行」という言葉。
それを体現する伊東さんと菊地さんは、福島の農業復興の一躍を必ずや担ってくれることでしょう。

※1:ECサイト=「electronic commerce」の略で、自社が展開する商品やサービスを、インターネット上で独自で運営し販売するウェブサイトのこと。

取材協力

プランテーション小高合同会社
〒979-2172
福島県南相馬市小高区南鳩原128

福島県就農支援情報サイト「ふくのう」もご覧ください

福島県就農支援情報サイト「ふくのう」

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