農業を楽しむことが成功への近道。福島県青年農業士が考える、これからの農業と担い手育成の課題解決とは

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農業を楽しむことが成功への近道。福島県青年農業士が考える、これからの農業と担い手育成の課題解決とは

農業を楽しむことが成功への近道。福島県青年農業士が考える、これからの農業と担い手育成の課題解決とは
最終更新日:2020年09月30日

新たに就農を志す人にとって、ベテラン生産者や地域のコミュニティは「師」となる存在です。倣(なら)い、そこから独自の道を見定めることで農業は魅力ある「職業」になるはず。今回は、会社員から農業に転身し、福島県郡山市で野菜農家を営む若きリーダーにインタビュー。先輩就農者からの温かな“エール”をお届けします。

自身の「裁量」で仕事ができる、農業の強みを生かした経営戦略

郡山市で『いけがみ農園』を営む池上慎一郎さんは、トマトとキュウリのハウス栽培を中心に小松菜、ホウレンソウ、曲がりネギやキャベツなどを手がける就農12年目のファーマーです。高校卒業後、サラリーマンとして10年働いた後、家業を継ぐ形で農業の道に進みました。

2019年10月に発生した台風第19号ではトマトハウスが甚大な被害に見舞われるも、池上さんの努力によって復活

2019年10月に発生した台風第19号ではトマトハウスが甚大な被害に見舞われるも、池上さんの努力によって復活

「もともと農業を継ぐつもりはなかったのですが、サラリーマンとしての10年、20年先を見たとき、役職や収入など、ある程度予想がついてしまうことに疑問を感じるようになりました。農業は自分の裁量で仕事ができ、やり方次第で無限の可能性があるということに気づき、就農を決意しました」。

そんな池上さんは季節の野菜を「少量多品目」で栽培、販売しています。週に2日開店する『いけがみ農園』の直売所と郡山市内のスーパーに並ぶ新鮮な野菜は、多くの市民に愛され、喜ばれています。

「直売の強みは、自分で作った野菜を自分が価格を決めて売ることです。直接お客さんの顔を見ることもやりがいにつながっています」。

仲介業者を通さず直接販売で安定経営が図れているのは野菜の美味しさはもちろんのこと、郡山市の市勢も関係していると池上さんは分析します。

「人口約34万人の中核市である郡山市だから、直売という方法でも経営が成り立っていると思います。そこに甘んじることなく、一人でも多くの方に季節の野菜を味わっていただくために技術を磨き、より美味しい野菜を届けていきたいですね」。

福島県青年農業士でもある池上さんは、仲間の生産者と積極的に交流を図り、地域農業の発展に取り組んできました。そこで課題として見えてきたのが次世代の農業を担う若手農業者の育成でした。

フラットに参加できるコミュニケーションの場を作り、良き相談相手になること

「自分の経験を話すことで、少しでも新規就農者や若手農家の役に立てれば」と、思いを語る池上さん

「自分の経験を話すことで、少しでも新規就農者や若手農家の役に立てれば」と、思いを語る池上さん

担い手の育成・確保は日本の農業が抱える大きな課題の一つです。生産者の高齢化や労働力不足に対して、新規参入者を増やす取組には手厚い支援がありますが、池上さんは、家業を継ぐ「親元就農者」への支援も必要と話します。

「農業は日々進化し、機械化も進んでいるため、設備投資が必要な場合があります。また、生産規模を拡大するためにほ場を増やしたり、雇用を考えている親元就農者もいます。そうしたところに支援があることで、家業を継いでみようと考える若者が増えるのではないでしょうか」。

池上さんがこうした考えを持つようになったのは、農業士の集まりや、地元の消防団に所属する生産者とのコミュニケーションがきっかけでした。こうしたフラットに参加できる場では本音を聞くことができ、さまざまな情報交換ができていると池上さんは言葉を続けます。

「資金面で言えば、農機具や資材への投資によりマイナスからスタートする新規就農者が多い中、みんな覚悟を持って頑張っていますが、将来への不安は尽きないと思います。そこで、農業の先輩にあたる私たちが相談に乗り、アドバイスをすることで担い手の育成につながればいいと思っています」。

ハウス栽培のほか、露地ではキャベツ、ブロッコリー、曲がりネギなど栽培

ハウス栽培のほか、露地ではキャベツ、ブロッコリー、曲がりネギなど栽培

新規就農者にとって、池上さんのような先輩就農者の言葉は大きな励みとなり、技術向上やほ場探しなどにも役立てられていることが伺えます。こうした先輩との良好な関係を築くことができるのも農業が盛んな郡山市の特徴と言えるでしょう。

「農業はキツい面も確かにあります。でも、頑張った分だけそれに見合う収益を得ることができます。農業で食べていける、稼ぐことができるといったロールモデルを示すことも私たちの務め。農業は何をするにも“自分次第”という面があります。それを重圧と捉えるのではなく、面白さ、楽しさに変えられる資質を持った方なら、きっとやっていけますよ」。

新規就農者に“エール”を送る池上さん。良き相談者であることはもちろん、「兄貴」と呼ぶにふさわしい優しい笑顔が印象的でした。

データの「見える化」で目指す安定供給と品質向上

ハウスの「見える化」に取り組み、品質向上、安定供給を目指す

ハウスの「見える化」に取り組み、品質向上、安定供給を目指す

農業で生きていくためには精神論だけではなく、栽培技術や知識なども求められます。そこに終わりはなく、池上さん自身もまた、日々情報収集や勉強に励んでいます。中でも現在取り組んでいるのが、作物の育成や環境の「見える化」です。ハウス内の温度や湿度、日射量、土壌の温度や水分量、CO2ガス濃度(炭酸ガス)などを数値化することで「植物の気持ちが見える」と池上さんは表現します。

「数値を知ることで、収穫に至るまで何が必要か、何が不要かを知ることができます。また、有識者に相談する目安になるのもメリットです。規模の拡大も視野に入れてはいますが、それ以上に確実に美味しいものを安定供給できることを大切にしています。現在、両親と妻の4人体制ですが、いずれは雇用を生み、地域に貢献することが目標です」。

昨年よりももっと美味しい野菜を、喜ばれる野菜を。池上さんのチャレンジはこれからも続いていきます。

新規就農者にとってのお手本となり、目標となる先輩就農者の存在は大きな力になります。地域を牽引するベテラン生産者や若きリーダーと行政が近い距離にある福島県郡山市は、農業を志す全ての人への支援を積極的に行っています。

「福島なら、師と仰ぐ人に出会うことができる」。

池上さんのお話を聞き、そう実感した今回の取材。東日本大震災、そして2019年の台風19号など、難局を乗り越えてきた福島県郡山市には農業で生きる仲間の結束がしっかり根付き、地域で育む環境が整っています。無限の可能性を秘めた農業で、自分らしい生き方、やりがいを見つけてみませんか?

福島県就農支援情報サイト「ふくのう」もご覧ください

福島県就農支援情報サイト「ふくのう」

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