土壌診断・新技術・こまめな巡回、先進農家が実践する栽培と防除の流儀
増山さんの農業スタイルを一言で表すなら「常にアップデート」です。就農から25年、基本を守りながら先進的な取り組みを積み重ね、この5年間で経営規模を3ヘクタール拡大し、作付面積は12ヘクタール、研修生を含む従業員8名体制となりました。主力のレタスは大手ハンバーガーチェーンに、キャベツは飲食店などの業務用に、トマトはジュース加工用へと、いずれも契約栽培で安定した販路を確保しています。
ドローン導入で作業の効率化を試み、土壌診断に基づいた施肥設計で地力を管理。ビニールトンネルは温度上昇を防ぐ資材に随時切り替え、キャベツでは「畝マルチ+密植」で病害虫が発生しにくい環境を整え、規格の揃った出荷につなげています。
除草も徹底しており、マルチを引いた上で圃場周りを含めて全面的に管理しています。雑草がアブラムシの温床になることを意識してのことです。こうした環境づくりによって、散布インターバルを通常より長く保つことができています。

「虫が発生しにくい環境をつくることを前提に、そのうえで巡回のタイミングを意識しています。作物の形状が変わるタイミング、葉が巻き上がる時期、風が吹いた後など、そういう節目に必ず自分で圃場を見に行きます」と増山さんは話します。
農薬散布の記録は今もノートに手書きで管理しています。自分で確かめ、記録し、次に活かすというサイクルが増山さんの管理の精度を高めています
従来のアブラムシ剤とは全く別タイプ、その一言が導入の決め手
新技術や新剤への感度が高い増山さんにとって、情報収集の重要な窓口が農薬販売店です。「親身に相談に乗ってくれる販売店の情報を最も信頼しています」という増山さんのもとに、この春、販売店から興味深い情報が届きました。
「アブラムシ防除に新しい薬剤が出ました。それは従来とは全く別のタイプです」

既存剤とは異なる作用機作(IRAC:36)を持つ「エフィコンSL」は、抵抗性が生じた害虫にも効果を発揮します。「全く別のタイプ」という言葉は、抵抗性管理を持続的な経営の柱のひとつとする増山さんに響くものでした。
「新しい薬剤はなかなか世に出てきません。だからこそ新製品は必ず使って確かめて、できるだけ長く使い続けたい」と話す増山さん。早速、栽培中の春レタスで試験散布に踏み切りました。
散布翌日に落ちていた虫が証明、エフィコンSLのユニークな作用機作
春レタスの栽培は12月から育苗・定植が始まり、翌年3月頃から収穫が始まります。収穫期間の終盤を迎えたゴールデンウィーク前、増山さんは試験区のレタスに「エフィコンSL」を殺菌剤2種と混用し、ブームスプレーヤーで散布しました。
日頃の防除が行き届いていることもあり、レタスにアブラムシはついていませんでしたが、翌日に圃場を確認すると、圃場内にある雑草に変化がありました。
「草についていたアブラムシが、葉から落ちていました。まだ動いていましたが、その2、3日後に確認したら全くいなくなっていました」と増山さんは状況を話します。

これが「エフィコンSL」の作用機作です。有効成分アクサリオン®(ジンプロピリダズ)は、虫の吸汁行動を速やかに阻害して活動を低下させ、最終的に死に至らせます。速効性の殺虫剤のように「散布直後に殺虫効果がある」わけではありませんが、吸汁阻害による作物保護の効果は散布直後から始まっています。「落ちている虫」を目の当たりにした増山さんは、即座に「効いている!」と喜んだといいます。
散布から2週間以上が経過した後も、試験区のレタスにはアブラムシが見られず、5月末の収穫終了まで追加の殺虫剤散布は不要でした。「残効が長ければ散布回数を減らせますし、効き目を考えるとコスト的にも十分見合います」と増山さんは新剤を評価します。

秋レタスで本格導入、残効性を最後の一手に
増山さんは今秋のレタスから「エフィコンSL」を本格的にローテーションに組み込む計画です。通常、秋レタスでは定植時の育苗ポット灌注に始まり、生育期間中に3回程度の茎葉散布を行います。「エフィコンSL」は残効性を最大限に活かして、収穫前の「最後の一手」として位置づける構えです。
「収穫前は薬剤を散布できないから、長く効き続けてくれる薬剤がその役割に適しています」と増山さんは話します。
また、「エフィコンSL」は予防散布で害虫によるウイルス媒介を防ぐ効果も期待でき、収量・品質の安定にもつながると見ています。「秋レタスの防除回数を1回減らすことができれば経営的にも助かります。従来のアブラムシ剤との2本柱で抵抗性を管理しながら、長く使い続けたい」と増山さんは展望します。

ドローンによる省力化、土壌診断に基づく施肥、こまめな巡回と手書きの防除記録。増山さんの農業経営の強さは、新しい技術や薬剤を取り入れながらも、基本を疎かにしないところにあります。複数の手法を組み合わせて自分の経営に落とし込む姿勢で、防除の精度と経営の持続性を同時に高めてきました。待望の新剤「エフィコンSL」もまた、増山さんの防除体系をアップデートし、経営の発展へとつなげる一剤になるでしょう。
取材協力
茨城県八千代町
有限会社八千代組合 増山泰英さん
『エフィコン®SL』製品情報
有効成分: アクサリオン®(ジンプロピリダズ) 10.8%
登録番号: 第25005号
性状: 褐色~暗褐色澄明水溶性液体
毒性: 普通物(毒劇物に該当しないものを指していう通称)
危険物: 三石・Ⅲ・水溶性
有効年限: 3年
包装: 250ml×20本、500ml×20本(地域限定)
®=BASF社の登録商標


















