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稲作で就農して激動の3年間 猛暑とカメムシを乗り越えて設備投資を決断

吉田 忠則

ライター:

連載企画:農業経営のヒント

稲作で就農して激動の3年間 猛暑とカメムシを乗り越えて設備投資を決断

コメ農家にとってここ数年は予想もしていなかったことの連続だった。猛暑や害虫による被害、そして米価の急上昇。まさにこの時期に就農し、激動の中でコメ農家の道を歩み始めた夫婦がいる。埼玉県加須市で就農した小西良太(こにし・りょうた)さんとその妻の侑希(ゆうき)さんを取材した。

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目標は家族経営で30ヘクタール

2人の栽培面積は現在23ヘクタール。高齢農家の引退などで農地の流動化が加速する中、短い期間で順調に面積を拡大してきた。このまま田んぼを増やし続け、30ヘクタールまで広げることを視野に入れている。

この面積について、侑希さんは「大規模農家になりたいわけではない」と話す。近くに100ヘクタールを超す農場があるのを意識しての言葉だが、稲作の平均的な経営規模からすればこれでも十分に大きい。

むしろ面積を大きくし過ぎると、栽培が不安定になるリスクもある。スタッフを雇ったりせず、家族でコメ作りをしようと思えば30ヘクタールは適正な規模だろう。米価の動向にもよるが、収益をきちんと確保できる。

もともと良太さんは自動車の整備会社で働いていた。農業を始めようと思ったのは「田んぼをバックに車の写真を撮りに行くなど、田園風景が好きだから」という。

研修先に選んだのは、同じ加須市の早川農場だ。早川良史(はやかわ・よしちか)さんは多くの就農希望者を受け入れて技術を教え、就農後もさまざまな形でサポートするなど地域の「篤農家」と言うべき存在だ。

早川さんのもとで5年間研修した後、侑希さんとの結婚を機に独立した。2023年のことだ。この年に起きたことは、後に稲作にとって大きな意味を持つことになった。「令和の米騒動」の起点となった年だ。

画像1)早川さん

早川良史さん

米価上昇で営農が軌道に

独立して1年目の2023年、記録的な猛暑が稲作を襲った。2人はその年の収量について「あまり取れなかった」と振り返る。

この言葉は当時の状況をリアルに表現している。多くの農家の実感は「多少猛暑の影響があったかな」というものだった。1等米比率は落ちたが、収量そのものは大きく落ち込んでいなかったからだ。

年明け以降に問題が明らかになる。高温障害の影響で、精米したときに米粒が割れるという事態が続発したのだ。精米時の「歩留まり」の低下は、その後のコメ不足と米価上昇の原因となる。

2年目はイネカメムシが大量に発生した。被害は県全域に広がったが、加須市はとくに深刻な地域だった。

画像2)カメムシ

イネカメムシ(埼玉県病害虫防除所提供)

実は2018年版の埼玉県のレッドデータブックで、イネカメムシは「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い種」に分類されていた。それが突如復活した。気温の上昇が影響したと見られている。

それでも2024年は先行きを悲観するような年にはならなかった。前年の猛暑の影響で全国的にコメ不足が顕在化し、米価が急上昇し始めていたからだ。多くのコメ農家が感じたことだろう。

2人の場合も収量は半分ほどに減ったが、米価が上がっていたおかげで「ある程度利益を出すことができた」。

3年目はカメムシ対策で防除用のドローンを用意して臨み、期待通りの収量を確保することができた。米価は引き続き高水準で、営農に弾みがついた。

画像3)ドローン

防除用のドローン

精米機と色彩選別機を購入

めまぐるしく営農環境が変わった3年の間に、2人が感じたことがある。1つは周囲の小規模農家の多くは、ほとんど利益が出ていないという点だ。

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