2000本の木から樹液を採取
生産が本格的にスタートしたのは2025年。メープルシロップの本場であるカナダから一連の設備を輸入し、十勝地方の池田町に工場を建てた。
原料はイタヤカエデとヤマモミジの樹液。親会社で工業用ベルト製造のニッタ(大阪市)が所有する山林に生えている。26年に採取したのは2000本。幹につけたチューブの中を樹液が流れ、山の下方にある工場に届く。
工場に集められた樹液は2つの機械で濃縮され、琥珀色のメープルシロップになる。冬の間に採取して製造を開始し、4月下旬から販売する。
売り先は十勝にある道の駅や飲食店、ホテルなど。2026年は初回の注文でほぼ全量を売り切った。25年に品質が高く評価された結果だ。
ニッタが所有する山林にイタヤカエデとヤマモミジがどれだけ生えているかは不明。数え切れないほど多いのだ。好調な販売をテコに、26年中をメドに樹液を採取する本数を5000本まで増やすことを目標にしている。

チューブの中を樹液が流れる
設備メーカーが無償で生産指導
樹液を採取する本数は国内のこれまでの生産よりひと桁多く、すでに最大手の立場にある。だが同社のプランはそこにとどまらない。社長の山口聡士(やまぐち・さとし)さんは「ここは見本工場の位置づけもある」と話す。
その意味を説明する前に、どうやって事業を立ち上げたかに触れておこう。
頼りになったのが本場カナダのマニュアルで、434ページのボリューム。ネットで自由に閲覧することができる。山口さんによると「山の整備の仕方からメープルシロップの生産方法、販売まで全て載っている」という。

樹液を濃縮する設備
まずメープルシロップに適した樹種や育ち方、病害虫の種類から説き起こす。さらに生産に必要な設備や資材の一覧に移り、樹液を効率よく濃縮させる設備やその使い方を詳細に解説。生産量の目安も示してある。
販売で役立つのは、初期投資の費用やランニングコストの一覧表。それをもとにカナダで販売する場合、標準的な価格がいくらで収支がどうなるかを知ることができる。事業を始める際に必要な情報が網羅されているのだ。
重要なのはこの先だ。関連の設備を全て扱っている会社がカナダにあり、購入するとチューブの設置の仕方からシロップの生産方法まで現地に来て無償で指導してくれる。わくっとニッタもこのサービスを利用した。
ひと通り指導が終わると、後は購入した側が生産を開始する。実際につくりながらマニュアルを見返すことで、内容の理解がいっそう深まる。

わくっとニッタの「MOMIJI SYRUP」
試行錯誤を省いて生産が軌道に
勘のいい読者なら、山口さんが「見本工場」という言葉を使ったわけがもうおわかりだろう。

















