面積も売上高も増えているのに、手元にお金が残らない
福田さんはさいたま市の外郭団体、さいたま市産業創造財団で働いた後、2023年に独立してリッカ・コンサルティングを立ち上げた。年間の相談件数は延べ500件に達し、そのうち7割を食と農関連が占めている。
財団で関わった仕事の1つが、さいたまヨーロッパ野菜研究会(ヨロ研)の創設だ。若手農家のチームがイタリア野菜を育て、飲食店などに販売する枠組みを確立した。野菜のタネは主にトキタ種苗から購入する。
ヨロ研を軌道に乗せたことは、福田さんにとって大きな実績になった。現在はトキタ種苗の顧問も務めており、さいたま市以外の地域でイタリア野菜を栽培するグループの立ち上げもサポートしている。
ではコンサルの仕事を手がけてきて、農家にどんな課題を感じているのだろうか。そうたずねると、こんな答えが返ってきた。「栽培面積も売り上げも増えているのに、手元にお金が残らないパターンが結構ある」
こうした農家に「まず時給を計算しましょう」と勧めているという。

ヨロ研のイタリア野菜
時給500円に驚く生産者
コンサルを頼もうと思う農家の多くは当然、営農を大きくしたいと考えている。その手立ては法人化やスタッフの雇用。福田さんによると、その際必要になる自分の時給の計算がきちんとできていない人が少なくないという。
「それをあまり考えないで人を雇ってしまうと、従業員を食べさせるために自分は際限なく働くということになりかねない」。面積や売り上げは把握しているが、利益の計算は大ざっぱなケースが多いのだ。
営農を続けることはできているが、「何となく回っている」のが実情。そこで「面積は増えたのに手元にお金が残らない」ということが起きる。
福田さんが経費を洗い出し、時給を計算してみると「500円」というケースもある。初めて金額を知って、相手は衝撃を受ける。次に固定費や変動費などをもとに収益構造を分析し、どこを削ればいいかを提案する。

時給の計算をしていない農家が多い
農家同士のコラボを仲立ち
福田さんが顧問を務める農業法人で、成長に手応えを感じているのが十色(といろ、さいたま市)だ。色とりどりの世界中のトウガラシを育てている。
成果の1つが、自分たちの時給を含め、経費の計算を厳格にやるようになったこと。これは売り先と値段の交渉をする際の大きな材料になる。原価割れするような値段なら、販路にしないという姿勢を徹底した。
十色の戦略で重要なのは「外に打ち出すイメージの確立と、収益確保の地道な努力」を両立させることだ。ここに経営の強みがある。

















