記録的なコメの過剰在庫
民間在庫の見通しは、農林水産省が7月28日に開いた食糧部会で示した。それによると、26年の生産量は732万トンと予定を21万トン上回る。すでに積み上がった在庫にこれが加わり、27年6月末は263万~281万トンになる。
高米価でコメの売れ行きが鈍ったことなども影響した。適正とされる在庫水準が180万~200万トンなので、空前の過剰在庫になる。関係者の間には「300万トンに達してしまうのではないか」と懸念する声もある。
農水省にはやるべきことがたくさんある。まずは25年に放出した政府備蓄米の買い戻し。さらに備蓄水準の引き上げの検討。前者は米価の暴落を防ぐための方策で、後者は需要を政府がつくることにつながる。

農水省は政府備蓄米の買い戻しが急務
コスト指標では難しい相場の安定
一方、生産者や産地、流通を含む民間で短期的にできることは少ない。4月に施行された食料システム法はコストを考慮した価格形成を求めているが、相場を決めるのは結局は需給。コメ余りは米価の下落を引き起こす。
だが長い目で見て打つべき手はある。カギを握るのは発想の転換。コメは長年、「産地」や「銘柄」で競い合ってきた。「新潟県産コシヒカリ」や「秋田県産あきたこまち」などだ。ここに令和7年産などの「年産」が加わる。
小麦はまったく違う。うどん用の代表的な銘柄である「オーストラリア産スタンダード・ホワイト(ASW)」は複数の品種のブレンド。パンやラーメンで使うアメリカ産ダーク・ノーザン・スプリング(DNS)」も同様だ。
用途に合わせ、複数の品種を混ぜてタンパク質の含有量などを安定させる。その結果、製品の品質も安定する。同じ穀物でも別世界なのだ。
これが本稿のテーマ。コメももっとブレンドに注目していいのではないか。それが需要に応える手立ての1つになる可能性があるからだ。

小麦はブレンドするのが一般的
中食や外食はブレンド米に需要
スーパーに行くとブレンド米も売ってはいるが、メインはいまも産地銘柄。日本のコメのバリエーションの多さを象徴する光景だ。だがコンビニやスーパーで売っている弁当やお握り、外食のメニューはこれと状況が異なる。
外食や中食は以前からブレンド米を使ってきた。カレーや牛丼、寿司、チャーハンなどメニューに合わせ、それぞれブレンド米を取り入れてきた。「コシヒカリ」などと銘打っていることもあるが、多くは無記名だ。
家庭でご飯を食べる機会が減る中で、消費を下支えするのが外食と中食の業務用ニーズ。ただし課題もある。業務用は「値ごろ感」を求められることが多く、高く売ることを目標にしてきた産地の努力とズレがあるのだ。
前段で「発想の転換」と書いたのはそういう意味だ。「1俵(60キロ)当たりの値段」を高めようとするのではなく、「1反(10アール)当たりの売り上げ」を追求する。それを可能にするのが、単価ではなく反収のアップだ。
全国農業協同組合連合会(JA全農)の品種「ZR1」や「ZR2」はその一例。収量は平均を大きく上回り、ZR1で10アール当たり最大800キロ近くを目指すことができる。粘りが少ないので食器にこびりつきにくい。業務用に開発した。
ここで重要なのは、ブランド化による高値販売を掲げていない点だ。

















