間近に迫る米価急落
早川さんが運営する早川農場は、地域で有数の大規模経営だ。栽培面積はコメが60ヘクタールで、麦が40ヘクタール、大豆が6ヘクタール。大手コメ卸の神明や集荷会社、コメの加工会社を主な販路にしている。
2025年の全国的なコメの増産と政府備蓄米の放出、コメ輸入の増加が重なって民間在庫がかつてないほど膨れ上がり、米価の急落が懸念されている。1年前に3万円台だった生産者米価が、2万円を切るとの見方もある。
早川さんたちがかつて経験した低米価は、これとはレベルが違った。2008年のリーマン・ショックで景気が低迷したときは9000円に下落した。猛暑による品質の低下で、一時6000円まで落ち込んだこともある。
低米価を乗り切るため、早川さんが目指したのは有利な販売先の開拓。現在の販路はその模索のうえで確保した売り先だ。
そうした中で当然、生産性の向上にも努めてきた。

早川良史さん
コスト削減は「勝手に身についた」
「コスト削減の方法は勝手に身についてきた気がする」。早川さんはそう語る。利益を確保するため、経費を減らすのは避けることのできない課題。収益性を飛躍的に高める手立てはなく、細かい工夫の積み重ねだった。
その1つとして早川さんは、トラクターの走らせ方の見直しを挙げる。例えば「エンジンをフル回転させるのをやめる」。その結果、軽油の消費量が減る。だがそれだけだと、スピードが落ちて作業効率が低下する可能性がある。
そこでトラクターを走らせながら、タイミングを見てギアを上げて速度が落ちるのを防げるかどうかを探ってみる。エンジンとギアのバランスでスピードがどう変わるかを、実際に運転しながら確かめた。
肥料がどれだけ要るのかも試してみた。例えば3袋入れていたのを1袋に減らしてみて、生育にどう影響するかを試してみる。「たいして変わらないと気づいていまにいたる」。これもコストの削減に寄与した。
何か特別な方法を取り入れれば、利益が抜本的に増えるといった話ではない。大切なのは日々の地道な努力。基本を踏まえつつ、少しずつやり方を変えてみる。早川さんが「勝手に身についた」と語るのはそうした意味だ。

早川農場の農機
農地バンクの活用で地域に協議会
農地の集約は、5年ほど前に農地中間管理機構(農地バンク)を通して水田を借りるようにしたことで前進した。農地バンクを活用しながら、水田の分散を改めるべきだとの機運が地域で高まったのだ。
担い手が効率よく営農できるようにするための協議会が発足した。それぞれ地域内のどの場所で稲作を営むかを大まかに決め、農地を集約する試みがスタートした。早川さんもそのメンバーに加わった。
早川さんはこのとき、離れた場所で借りていた田んぼを合わせて10ヘクタール手放した。移動のコストを考えれば非効率だったからだ。
「どうせまた戻ってくると思っていた」。早川さんはそう振り返る。


















