全国に先駆けて特別栽培米を生産 いち早く農作物のブランド化を推進してきた唐津エリア
佐賀県北部に位置し、肥沃な土壌と温暖な気候に恵まれた唐津市。
水田ではコシヒカリをはじめ、佐賀県独自のブランド米である『夢しずく』や『さがびより』、露地では丸々としたタマネギ、施設では甘酸っぱいイチゴや瑞々しいハウスみかん、そして畜産では全国的にも高い評価を獲得している『佐賀牛』などが生産されています。
その販売高合計は、およそ276億円。日本穀物検定協会による食味ランキングでは、佐賀県産『さがびより』が12年連続で最高評価の特Aを獲得するなど、唐津の農産物に対する各方面からの評価は年を追うごとに高まっています。
その理由のひとつが、安定した高品質。起伏に富んだ豊かな自然が広がる唐津エリアでは、米づくりにおいても広大な水田が広がる同じ佐賀県内の平野部のように、大量に生産して大量に販売するということができません。
だからこそ、山間部特有の昼夜の気温差を生かしながら、豊富なミネラルを含む粘土質の田んぼに早期田植えを行うことで食味数値の高い良質米をつくり、付加価値を高めているのです。
また、使用する農薬と化学肥料が慣行レベルの半分以下となる『特別栽培米』の生産に、全国に先駆けて挑戦。美味しいだけではなく、安全・安心であるというところも、「からつ米」の付加価値を高めています。
「収量よりも、農産物ひとつひとつの品質で勝負する。20年にもわたって地域が一丸となり、そこにこだわり続けてきたからこその成果が、現在の唐津ブランドです」と、『JAからつ』の原さんは話してくれました。
その中でも特に評価が高いのが、上場地区にある棚田でつくられるコシヒカリだそう。安全・安心で美味しい農産物は、もはや風光明媚な自然や数々の歴史遺産と並び、唐津で暮らす人々の誇りとなっているのです。
収穫量2割減少の打撃 かつてない規模のウンカ被害を打開した対応策とは
2019年から2020年にかけ、西日本全域の水稲に大きな被害をもたらしたトビイロウンカ。中国大陸から風に乗って飛来するため、国内で真っ先に辿り着く九州では決して珍しい害虫ではありません。
原さんは「唐津エリアでは早期栽培を行っているので、これまでは深刻な被害を受けることがなかったんです」と振り返る一方で、地球温暖化の影響か、2019年と2020年はトビイロウンカの飛来時期が例年よりも早かったと話します。
そのため、普段は比較的被害の少ない唐津エリアでも、米の収穫が例年より2割も減るほどの打撃を受けたそうです。
「2019年に大きな被害を受けて対策をしていたものの、翌年も各地で坪枯れが発生してしまいました。そこで、いつもお世話になっているクミアイ化学工業さんに相談して勧められたのが、新しく発売されたばかりの『エミリア®フロアブル』。データからもその有効性は確認できましたし、アフターフォローもしっかりしているので、2021年から本格導入することにしました」と、原さんは話します。
しかし、そこに至るまでには入念に検討を重ねたそうです。
というのも、『JAからつ』がこだわっているのは、減農薬・低化学肥料で生産する『特別栽培米』。
「使える農薬の量に限りがあるので、効かなかったからと言って何度も散布することはできません。一発で確実に効果を得られなければ、『特別栽培米』ではなくなってしまいます。そのため、2021年は散布するタイミングにも非常に気を遣いましたね」と、原さんは当時を振り返ってくれました。
そして、佐賀県が発表する病害虫発生予察情報をチェックし、もっとも効果が期待できるトビイロウンカの幼虫期を狙ってヘリコプターによる全面散布を実施。
こうした努力の成果もあり、3年ぶりに米の収量を例年並みに戻すことができたのです。
『エミリア®フロアブル』との出会いが、唐津エリアに平穏をもたらしたといえるでしょう。
新規成分による効果が今後の安心に!益虫への影響も最小限のエミリア®フロアブル
唐津エリアの主要農作物である米の収量を取り戻すことができたとはいえ、「まだまだ予断を許せる状況ではありません」と、原さんは顔を引き締めます。
その理由としては、『エミリア®フロアブル』を本格導入した2021年は、トビイロウンカの飛来数が前年までほど多くはなかったということ。地球温暖化や線状降水帯などの影響により、いつまたトビイロウンカが大量に飛来するか分かりません。
ただ、実際に『エミリア®フロアブル』を使ってみた原さんにはひとつの手応えがあると言います。
「これまでにもウンカ類の防除に使われてきた農薬はありました。ただ、ずっと使い続けていると、その農薬に対して害虫のほうにも耐性ができていくんですよね。トビイロウンカは中国大陸から飛んで来るので関係ないと思われるかもしれませんが、既存の農薬は中国などでも使用されています。当然、効果は薄れていくはず。だからこそ、まったく新しい系統の有効成分によって開発された『エミリア®フロアブル』には、大きな効果が期待できます。実際、前年までより飛来数が少なかったとは言え、導入した2021年の時点で、私はそれを実感することができました」と、今後への期待も含めて率直な感想を語ってくれました。
また、唐津エリアには養蜂を営む農家さんもいますが、これまでの農薬とは異なり、ミツバチなどへの安全性が高いというところも、原さんが非常に助かっているポイントなのだとか。ヘリコプターで全面散布するとなると、どれだけ気を使っていても周囲への影響が懸念されます。ミツバチやマルハナバチなどのハチ類はもちろんのこと、クモやヤゴ、ナミテントウなどの益虫に対してはほとんど影響がないことが確認されているというところも、『エミリア®フロアブル』ならではの魅力だと言えるでしょう。
①既存剤と作用性が異なり、ウンカ類に対して高い効果を示します。
②ミツバチや有用昆虫に対して、影響がほとんどありません。
③カメムシ類、ツマグロヨコバイに対しても効果を発揮します。
2020年、トビイロウンカは東海地方にまで飛来し、かつてない被害を与えました。こうしたウンカ類への対策は、もはや唐津エリアをはじめとした九州・中国地方だけの問題ではありません。
最後に原さんが話したのは、そんなウンカ防除のノウハウがない地域のJAや農家さんにこそ、『エミリア®フロアブル』をおすすめしたいということ。温暖化による気候変動など関係なく、はるか昔からウンカ類との戦いを続けてきた九州の水稲を熟知するエキスパートの言葉には、力強い説得力が宿っています。
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