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トマトは見切り、ナスは粘る。猛暑を乗り切る夏野菜の管理術【DIY的半農生活Vol.54】

和田 義弥

ライター:

連載企画:DIY的半農生活

トマトは見切り、ナスは粘る。猛暑を乗り切る夏野菜の管理術【DIY的半農生活Vol.54】

茨城県筑波山のふもとでセルフビルドした住まいに暮らし、約3.5反(35アール)の田畑でコメや野菜を栽培するフリーライターの和田義弥(わだ・よしひろ)が、実践と経験をもとに教える自給自足的暮らしのノウハウ。近年の猛暑は人間だけでなく野菜にとっても超過酷。夏野菜を少しでも長く元気に育てるための暑さ対策と、水やりやマルチングのコツ、さらに弱った野菜を無理に引っ張らず秋作へつなぐ考え方について紹介します。

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夏の畑仕事は午前8時まで

この時期、朝は4時前に起きる。日の出はまだだが、空はうっすらと明るくなり始めている。家の前に広がる田んぼから吹く風が気持ちいい。ただし、そう感じられるのは7時までだ。すでに太陽は高く昇っており、強い日差しが照りつけて暴力的に気温が上がっていく。額に汗をかきながらがんばって、外で作業ができるのは8時がめいっぱい。アウトドアワークはそれまでに済ませないといけない。畑だけじゃなく、愛犬の散歩やヤギの搾乳、ニワトリのエサやりもあるし、田んぼに行ってアイガモの様子も見てこなくては。

7月の畑。トマトとナスは収穫のピーク。高温性のオクラとモロヘイヤはこれから旺盛に育つ

畑では夏野菜が収穫のピークを迎えている。トマトの豊作がうれしい。ここ1週間はトウモロコシが毎日3〜4本とれるし、オクラもじゃんじゃんなっている。さっとゆでて塩やしょうゆで簡単に味付けするだけでビールのつまみになる。いくらでもこい。
それから、キュウリは……、ちょっとできすぎ……。「もう、たくさん食べたからそんなにがんばって実をつけなくてもいいよ」と株に声をかけてみるが、まだまだ収穫は続きそうだ。そのままにしておくのも何となく忍びないのでヤギやニワトリにやっている。おいしそうに食べるんだ。

トマトは日よけと有機物マルチで暑さをガード

今は元気な夏野菜も、例年8月に入ると高温と乾燥で少しくたびれてくる。それをどうするか。私の答えは、そこでおしまい。無理して引っ張るより、さっさと切り上げて次の作付けの準備をしたほうが合理的だ。
トマトは特にそうだ。もともと南米アンデス山脈の高地生まれで、適温は15〜25度。本来、湿度と気温の高い日本の夏は向いていないのだ。30度を超えたら「本当にもう無理!」って声がする。花粉の活性も落ちる。そうなれば新たな実がつきにくくなる。その時点で着果している実は収穫できるかもしれないが、それも株が元気であってこそ。高温下では相当なダメージを受けるので、それを防ぐために遮光ネットをかけて強い日差しを和らげ、株元にはわらやもみ殻、刈り草を敷いて地温の上昇を抑えてやる。

トマトの花は30度を超えると着果不良が多くなる

乾燥した気候を好むトマトは雨に弱いため、露地栽培では雨よけをすることが多いが、それも屋根だけにして側面は開放し、風通しをよくしておくと熱がこもりにくい。遮光ネットは雨よけの上にかけ、乾燥がひどければ水やりをする。水不足になると肥料分を吸収できなくなり、それでカルシウムが足りなくなると果実のお尻の部分が変色する尻腐れ症が発生しやすくなる。夏のトマトによく見られる生理障害だ。

トマトの畝間に緑肥のエンバクを栽培し、草丈が伸びたら刈り取ってマルチにする。地温の上昇と乾燥を抑える

そんなこんなしても太刀打ちできない暑さであれば、それはもうあきらめなはれ。長くトマトを収穫したいと思ったら、来年は春の気温と相談して2週間〜1カ月早くトマトを植えること。収穫も早くから始まるので、7月いっぱいでしっかり収穫できる。

ナスは水やりで元気を回復させる

一方ナスは、トマトがバテていても案外平気な顔をしている。ナス科の野菜は、トマトもトウガラシ(ピーマン)もジャガイモも中南米原産だが、ナスだけはインド東部の熱帯地方にルーツがある。高温多湿で雨が多く、日本の夏に近い気候だ。
とはいえ、ナスにとっても近年の日本の夏の猛暑は厳しい。トマトと同じように猛暑が続くと花がつきにくくなり、着果障害が出るようになる。加えて、「ナスは水で育つ」と言われるくらい水を好む作物で、肥料分も多く必要とする。そのため、地温を下げて土壌を乾燥させないことが大切だ。トマトと同じように株元にわらや刈り草を厚く敷いてマルチングしてやるのが効果的。雨が降らない日が何日も続くようなら水やりもする。その際、地表が濡れる程度ではすぐに蒸発してしまうので、1株につき2〜5リットルくらいしっかりやること。根が肥料分を取り込むのにも水分が必要なので、弱っていても水をやると回復することがよくある。

刈り取った草をナスのマルチに利用。なるべく厚く敷く。地温上昇と乾燥を抑え、防草にもなる

ナスは放っておくとわき芽が伸びて枝葉が混み合ってくるので、剪定(せんてい)して風通しをよくしてやる。野菜作りのマニュアル本などには、「こう仕立てるといいですよ」と書いてあったりするが、私は特にルールを設けていない。というのも、こうと決めてもそのうちどの枝を伸ばして、どの枝を切るのかがわからなくなってくるからだ。みなさんもそんなことありませんか? なので、「混み合ってきたところを切る」というシンプルな考え方でやっている。
夏場は高温で実がつかなくても、株が元気であれば秋になってまた実をつける。お楽しみの秋ナスである。また、6月下旬〜7月下旬に苗を植えつける抑制栽培を仕込んでおけば、初夏に植えつけた先発のナスは夏で見切りをつけ、秋の収穫は抑制栽培の若いナスにバトンタッチするという手もある。

ナスは夏を乗り切れば、10~11月まで収穫が続く

キュウリやカボチャは抑制栽培で秋につなぐ

抑制栽培はキュウリやズッキーニ、カボチャなどウリ科の作物でも、秋に収穫をつなげられる現実的な方法だ。これらはそもそも収穫が長く続く野菜ではない。短期集中型で1カ月ほど連続して実をつけると株がくたびれて、うどんこ病などの病害も出やすくなる。
キュウリに限っては粘り強く2〜3カ月収穫できることもあるが、7月下旬まで種をまけるので、古い株を長持ちさせるより新しい株に更新していったほうがいい実がとれる。
抑制栽培のカボチャは7月下旬までに植えつければ10月頃に収穫でき、貯蔵性もいい。俗に言う冬至カボチャはこの抑制栽培のものが多い。

キュウリ。4~5月植えの株は7月には株がくたびれてくるので、抑制栽培の株に切り替えて秋の収穫につなげる。株元にはわらマルチ

オクラやモロヘイヤは暑さに強い

一方で、この暑さをむしろ喜んでいる野菜もある。オクラとモロヘイヤだ。いずれもアフリカが起源とされ、ほかの野菜に比べて高温に強い。梅雨が明ける頃までもじもじしていたのに、気温が30度を超えるようになると急にやる気を出す。オクラは次々と花が咲いて実をつけ、4〜5日で食べ頃になる。10株も育てていれば毎日収穫しないと間に合わないほどだ。実をとったら、その下の古い葉をハサミで切って落としておく。老化して光合成をする力が落ちているうえに、そのままにしておくと葉が混み合うので、風通しをよくしておくのだ。うまく育てれば草丈は2メートル近くになることもあり、10月頃まで収穫が続く。

オクラは実を収穫したら、その下の葉を切って風通しをよくしておく

モロヘイヤは枝先を摘んで収穫すると、次々にわき芽が伸びて収量が増えていくうれしい野菜だ。夏の間にやることは収穫だけ。水不足になると葉が縮んでくるので、そのときは水をやる。これはオクラも同じで、曲がり果やイボ果が見られたら水や肥料不足のサインだ。
トウモロコシやエダマメは、この時期になればおそらく収穫して終わりだろう。スイカも基本的にはやることはない。実が熟すまで株が健康であることを願うだけだ。サツマイモは暑さと乾燥に強いので放任でOK。
一方で、サトイモやショウガは乾燥するとまったくダメで、収量にもはっきりと影響が出る。わらや刈り草マルチと合わせて積極的な水やりで夏を乗り切るべし。

サツマイモは夏の暑さで旺盛に育つ。猛暑でもへこたれない

野菜の暑さ対策と合わせて秋の準備もスタート

人間もそうだが、日本の夏は野菜にとっても厳しい。暑さでくたびれてしまうと、回復させるのは難しいので、その前にできることをやっておこう。とりあえずどんな野菜にも株元には有機物マルチを! 水や空気を通すので、ポリフィルムのマルチに比べても地温の上昇や乾燥を抑えられる。雨が少ないときは水やりの効果も大きく、弱っていた株も目に見えて回復する。それでダメなら気持ちを切り替えて秋野菜の準備をしよう。

8月に入ったらキャベツやブロッコリーなど秋野菜の苗作りを始める

それにしても、いつから日本の夏はこんなに暑くなってしまったのだろうか。私が少年だった40年ほど前は、30度を超えたらそれでもう大騒ぎだったのに。今じゃそれが40度などというとんでもない数字まで出てきたりする。真っ昼間に農作業などしようものならマジで死ぬ。というわけだから、野菜の世話も大事だけれど、まずは人間が無理をしないでいきましょう。

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