
暑い日ほど迷う灌水の判断
高温化で難しくなるイチゴ育苗 水をやれば安心、ではなかった
群馬県でイチゴを栽培する関口さん。現在は約17aの圃場でイチゴを栽培し、育苗本数は約10,500本。「ジフィーセブンC」の使用は4年目に入ります。近年、育苗管理で特に難しくなったと感じることを尋ねると、返ってきた答えは明快でした。「暑さですね。やっぱり」夏場の育苗では、苗の様子をこまめに見に行く必要があります。気温が高く、乾きが早いように見えると、どうしても水をやりたくなる。
しかし、そこで水をやり過ぎることが、かえってよい苗づくりを妨げることがあるといいます。「時間があれば、やっぱり水をくれたくなっちゃう」関口さん自身も、最初から今の管理ができていたわけではありません。
「ジフィーセブンC」を導入した当初は、水管理に戸惑いもありました。従来のポット育苗とは見え方も乾き方も違うため、どのタイミングで水をやればよいのか判断が難しかったと振り返ります。
しかし、指導を受けながら水を控えめに管理するようになり、少しずつ苗の変化が見えてきました。「昔は、根づくりなんて頭になかった」その言葉の裏には、失敗と試行錯誤を繰り返しながら、4年目でたどり着いた根づくりの大切さへの確信が込められていました。

左から)株式会社ぐんたね 取締役 青木将太さん、生産者の関口啓次さん、関口智恵子さん
「水やる暇があったら家で寝ていろ」の本当の意味
イチゴの育苗では、ランナーで親株と子株がつながっている期間があります。この時期、子株は親株から水分や養分を受け取っています。そのため、子株への灌水は単に水分を補給するためではありません。大切なのは、根を伸ばすきっかけをつくることです。関口さんの圃場では、親株とつながっている期間の灌水は、今年は3日に1回程度。曇天が続けばさらに間隔を空けることもあるといいます。
「親につながっている間は、親から水をもらえる。子株への灌水は、水を求めているからやるんじゃなくて、根を張らせるための灌水」水をやり過ぎると、苗は水を求めて根を伸ばす必要がなくなります。
逆に、適度に乾かすことで、根は水を求めて伸びていく。この考え方を関口さんは、印象的な言葉で表現しました。「水やる暇があったら家で寝ていろ」イチゴの育苗では常識外ともいえるような一言ですが、その背景には、「毎日水をやればよい苗ができるわけではない」という経験から得た確信があります。
細かい根=よい根を増やすためにはどれだけ乾かせるかが非常に重要です。つまり乾湿の差をはっきりつけられることがよい根を増やすためのポイントとなります。なので育苗における水やりではどれだけいじめ抜けるかが大事なのです。
もちろん本当に枯らしてしまっては意味がありません。しかし、少し葉がしおれそうになってもすぐに水をやらず、植物自身が水を探して根を伸ばす状態をつくることが大切だといいます。実際に根がしっかり張った苗は、切り離し後の活着にも違いが現れます。定植後にしおれて立て直すようなロスが少なく、新芽の動きも早い。「活着が早い」「ロスが少ない」その違いを、関口さんは経験の中で実感しています。

親株とつながっている子株の様子 水分や養分は親株からもらっている
根づくりを支える「ジフィーセブンC」
今回の取材で印象的だったのは、関口さんが「見える」という言葉を何度も口にしていたことでした。「ジフィーセブンC」は、ココピートを不織布で包んだ育苗資材です。濡れているときは黒っぽく見え、乾いてくると外側がラクダ色のように変化します。そのため、多くの生産者は「乾いた」と感じて水をやりたくなるそうです。
しかし実際には、内部にまだ十分な水分が残っていることも少なくありません。「乾いた乾いた」と言うけれど、「しおれてましたか」と聞くと、しおれてはいない。見た目だけで判断して水をやり過ぎると、過湿につながることがあります。一方で、水が多い状態が続くと、不織布の表面にアオミドロが発生することがあります。これは、「水が多いですよ」というサインです。従来のポットでは見えにくかった状態変化を確認できることも、管理のしやすさにつながっています。
さらに、
・根づくりの状況が確認しやすい
・管理基準を共有しやすい
・若手や新人にも伝えやすい
という利点もあります。
それは、「マニュアル化しやすい」という言葉でその価値を表現することができます。経験や勘だけに頼らず、管理の判断基準を共有しやすいことは、大きな魅力といえるでしょう。

左:濡れた状態 右:乾いた状態 色の変化が灌水判断の手掛かりに

アオミドロがでたら過潅水のサイン
「終わった!」と思ったら、まだポットの山があった
「ジフィーセブンC」を導入して変わったのは、灌水管理だけではありません。関口さんが強く実感しているのが、作業効率の変化です。
従来のポット育苗では、
・培土を詰める
・ポットを並べる
・定植後にポットを回収する
・回収したポットを洗浄、または廃棄する
といった作業が必要でした。特に印象的だったのが、定植後の作業について語ったこの言葉です。「終わったーって思って振り返ると、ポットの山がある」定植が終わり、一仕事終えたと思った瞬間に目に入る大量のポット。
植え付けが終わった達成感。ようやく一段落したという安堵(あんど)感。その直後に目に飛び込んでくる大量のポット。これから回収して、運んで、片付けなければならない。達成感の直後に襲ってくる、あの何とも言えない絶望感。経験したことのある方も多いのではないでしょうか。
「ジフィーセブンC」では、そのポット回収作業がありません。培土を詰める作業もなくなり、育苗作業そのものがシンプルになります。関口さんは、「あれがなくなるだけでも大きいですよね」と振り返ります。
最初は不安もあったそうですが、4年間使い続けた今では、「戻れないですね」という言葉が自然に出るほど。根づくりのしやすさ。管理のしやすさ。そして、あの定植後の絶望感から解放されること。それもまた、「ジフィーセブンC」が現場にもたらした大きな変化の一つでした。
最初は不安だった育苗方法も、今では安心感につながっています。

定植後、振り返ってポットの山を見たときの「絶望感」を思い出しながらポット栽培には「もう戻れない」と笑顔で語る関口さん
「ジフィーセブンC」の育苗で見えてきた価値
今回の取材で見えてきたのは、「ジフィーセブンC」は単なる育苗資材ではなく、「根づくりを見える化する道具」だということでした。
根がしっかり張った苗をつくりやすい
・水やりの考え方が変わる
・根を伸ばすための管理がしやすい
・活着が早くなる
・定植後の立ち上がりがよくなる
育苗管理をマニュアル化しやすい
・色の変化で乾き具合が分かりやすい
・過湿のサイン(アオミドロなど)が見えやすい
・経験や勘だけに頼らない管理がしやすい
・新人や後継者にも伝えやすい
苗のそろいがよくなる
・生育差が出にくい
・管理しやすい苗がつくりやすい
・その後の栽培管理も進めやすい
作業負担を減らせる
・ポットへの土詰め作業がない
・ポット回収作業がない
・廃棄物が少ない
・少人数でも育苗しやすい
「ジフィーセブンC」はこんな人に向いているかもしれません
よい苗をつくりたい人
・活着をよくしたい
・根張りをよくしたい
・育苗品質を安定させたい
夏場の育苗に苦労している人
・高温期の苗づくりに不安がある
・灌水管理の正解が分からない
少人数で育苗している人
・育苗作業を効率化して他の作業に時間を使いたい
・限られた人数で規模を維持したい
後継者や若手に技術を伝えたい人
・育苗技術を標準化したい
・勘や経験だけに頼りたくない
・誰が管理しても再現しやすくしたい
まとめ
今回の取材で印象的だったのは、関口さんが何度も口にしていた「我慢」という言葉でした。暑いから水をやる。乾いて見えるから水をやる。その常識を疑い、「水をやることが育苗ではない」「根を育てることが育苗である」という考え方に変わったとき、苗づくりも変わったといいます。関口さんが4年間の試行錯誤の中でたどり着いた答えは、とてもシンプルでした。
もし今、
・灌水管理に悩んでいる
・活着不良に困っている
・よい苗づくりを追求したい
そういう状況なら、関口さんの言葉を思い出しながら、「ジフィーセブンC」を試してみる価値があるかもしれません。「水やる暇があったら家で寝ていろ」その言葉の意味が、育苗を終えるころにはきっと実感できるはずです。
さらに詳しく知りたい方へ
根づくりを意識した灌水管理の考え方をまとめた「イチゴ育苗 灌水管理マニュアル」をご用意しています。
ご希望の方は、下記フォームよりお申し込みください。
(文・写真:サカタのタネ)
お問い合わせ
株式会社サカタのタネ ソリューション統括部
〒224-0041
神奈川県横浜市都筑区仲町台2-7-1
TEL 045-945-8806
※問い合わせの際、「マイナビ農業を見た」とお伝えください
















