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うまいパエリアの秘密はお米の白い部分にあり! 3品種を食べ比べてみた

うまいパエリアの秘密はお米の白い部分にあり! 3品種を食べ比べてみた

最終更新日:2018年06月29日

「スペインで『パエリア』米を探る!お米ライターが自腹レポート 」でご紹介したパエリアは、「パエリア米」とひとくちに言っても、その品種はさまざまでした。そして、スペイン人たちの好みもさまざま。スペインで聞いた「ボンバ」「センダラ」「アルブフェラ」という品種は、スペイン人から聞いたような味わいの違いがあるのでしょうか。同条件でパエリアを作ってもらい、それぞれの品種の違いを確かめました。

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同条件で作ったパエリアを食べ比べ

用意したお米は、いずれもスペイン産の「ボンバ」「センダラ」「アルブフェラ」の3種類。

左から「センダラ」「アルブフェラ」「ボンバ」。布袋に入っている点も日本と異なる

このお米を使って同条件でパエリアを作ってくれたのは、福島県・会津地方のさまざまな飲食店でワンデイ(日替わり)シェフや料理講師などをしている山添聡(やまぞえ・さとし)さん。料理は本業ではありませんが、世界各国の料理・食材の知識が膨大で、料理の腕がプロ並みという謎の歯科医師です。

材料は、お米140グラム、スープ240グラム。スープは、タマネギやキャベツ、シイタケ、マッシュルームの軸、エシャロット、ひよこ豆のゆで汁を使った「ベジブロス」。具材には、マッシュルーム、タマネギ、ニンニクを使い、最後にパプリカとブロッコリーをトッピング。ベジブロスは、エシャロットが味の決め手だそうです。

米粒がうっすらと半透明になるまで炒める

米粒がうっすらと半透明になるまで炒めてからスープを投入。10分煮込んだ後、180度のオーブンで8分加熱。8分蒸らしたら完成です。

「オーブンは邪道ですが、同じ温度に置けるのであえてオーブンを使います。オーブンの場合は、このスープの量が日本人好みです。オーブンを使わない場合は、スープはもっと多めに」と山添さん。

パエリアと言えば「ボンバ」というお米が知られていますが、パエリア発祥の地・バレンシアでは、ボンバの評価は今ひとつ。現地では「スープを吸う速度がゆっくりで、アルデンテ(少し芯が残った状態)のパエリアが作りやすいけど、いつまでも硬くてだめ」といった声が多く聞かれました。一方で、「センダラ」は「すぐにスープを吸うので加熱中はちゃんと見ていないとすぐに軟らかくなってしまう。でも、アルデンテとソフトの中間の“ベストポイント”が出せる」と好評。そして、「アルブフェラ」は、「ボンバ」と「センダラ」の中間で、“ベストポイント”が出しやすいとのことでした。食感は硬すぎても軟らかすぎてもだめで「ベストポイント」が大事なのだそうです。

果たしてこの3品種、スペイン人たちの言った通りの仕上がりになるのでしょうか? 実験してみました。

アルデンテは三者三様

生米の状態を観察すると、「センダラ」は若干大粒。「ボンバ」は米粒のそろいが良く、「センダラ」よりも少し小さめ。「アルブフェラ」は米粒のそろいが悪いので大きさが分かりにくいものの、若干小さめの印象です。

しっとりとして、ざくっとしたアルデンテの「ボンバ」パエリア

「ボンバ」のパエリアは、米粒の間にスープが残っていて、見た目はしっとり。一方で、「アルブフェラ」と「センダラ」のパエリアは、スープを吸って米粒と米粒がくっついています。「センダラは一番スープを吸いやすいので焦げやすい」と山添さん。スペインで聞いた通りです。ボンバはスープを吸いにくいため焦げにくく、センダラはスープを吸いやすいため焦げやすい。アルブフェラはその中間のようです。

実際に食べてみると、「ボンバ」は、ざくっとした食感のアルデンテ。一方で、「センダラ」は、アルデンテがわずかにある程度。「アルブフェラ」は、アルデンテはありますが、米粒の中のアルデンテの面積は「ボンバ」よりも小さめ。実際に米粒を割ってみても、食べて感じた通りのアルデンテの大きさでした。アルデンテの大きさが違うせいか、「ざくっ」とした食感の「ボンバ」に比べて、「アルブフェラ」の食感は「ぎゅっ」としていて、アルデンテの質が違うように感じられます。

スープを吸いやすいため焦げやすかった「センダラ」

「ボンバよりも3分遅れでアルブフェラのパエリアを作り始めましたが、調理中、スープはまだアルブフェラのほうが多くても、味を見ると両者が同じくらいの硬さになっていました」と山添さん。ボンバはスープを吸う速度が遅いだけでなく、米質自体も硬めのようです。

「アルブフェラ」の絶妙なアルデンテは時間とともになくなっていく

炊きあがりの「アルブフェラ」は絶妙なアルデンテでしたが、時間が経つとだんだんと軟らかくなって、「センダラ」と同じくらいの食感になってしまいました。一方で、「ボンバ」は時間が経ってもアルデンテが残っています。

バレンシア住民たちが「センダラ」や「アルブフェラ」を好むのは、日常の食卓では短時間で手軽に調理したいという理由もありそうです。実際に、バレンシアの米農家の男性は、手間がかかるパエリアは週1回しか作らず、普段はもっと簡便に雑炊のような米料理や、火にかけずオーブンだけで調理する米料理などを食べていました。

そして、高級米とされている「ボンバ」が大都市バルセロナの飲食店でよく使われているのは、日本の魚沼コシヒカリのような立ち位置のブランド米だからだと思っていましたが、アルデンテを保ちやすく扱いやすいためという側面もあるのかもしれません。

日本の酒米を食べるヒントにも

バレンシアでは、「ボンバ」は「硬すぎる」と不評でしたが、バルセロナはバキバキに硬いパエリアを提供する飲食店が多い印象でした。同じアルデンテでも、感じ方はそれぞれ。日本のスペイン料理店のパエリアのアルデンテの感覚は、バルセロナ住民のアルデンテの感覚ではなく、バレンシア住民のアルデンテの感覚に近そうです。

バキバキに硬いアルデンテだったバルセロナのレストランのパエリア。米粒を割ると、アルデンテ部分が見える

スペイン滞在中に食べた中で最も硬かったパエリアを出しているバルセロナのレストランの男性店員は、生米を見せながら「お米が白いからパエリアにいい」と教えてくれました。日本米でも海外のお米料理はおいしくなる【前編】でもご紹介したように、やはり白い部分(でんぷん粒が粗い部分)があるお米はスープを吸う料理に適しているようです。

バルセロナのレストランで見せてもらった「ボンバ」の生米。白い部分(でんぷん粒が粗い部分)がある。同様に、日本の酒米にも米粒の中心部に「心白」という白い部分がある

日本米でも海外のお米料理はおいしくなる【前編】でご紹介した酒米のパエリアも、「山田錦」か「五百万石」か「美山錦」か「雄町」か、その品種によって食感は変わるはず。スペインの“パエリア米”をヒントに、酒米の新しい楽しみ方も広がりそうです。

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