スマート農業って結局何?


スマート農業って結局何?
農林水産省によると「ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用する農業」と定義されています。
過去にはハイテク農業とも言われ、簡単に説明するなら
「コンピューターやインターネットを取り入れた農業」と言い換えても良いかもしれません。
スマート農業の導入により省力化や生産品質の向上などが見込まれ、
農業の労働力不足や国内の食料自給率の改善などの課題解決に役立つと考えられています。
農業は経験が重要な産業であるというイメージがあると思いますが、
熟練の農家の経験を技術に落とし込むことで、新規就農者の支援となることも期待されています。
出典:農林水産省「スマート農業の展開について」
スマート農業のジャンル
一口にスマート農業と言っても、かなり幅広い製品・サービスがあります。本特集では下記の分類に沿って、各製品・サービスの概要やおすすめできる人、導入費用などを解説します。
1. 圃場・施設環境モニタリング
2. 水管理システム
3. 経営・生産管理システム
4. 畜産支援システム
5. アシストスーツ
6. 自動支援ロボット
・ドローン
・ロボット農機・自動操舵システム
・その他の農業ロボット(収穫ロボ・アイガモロボ・ロボット草刈り機など)

1. 圃場・施設環境モニタリング
圃場やハウスの内外に設置したセンサーやカメラでモニタリングを行うことで
農地に足を運ぶ手間を省けたり、異変に早く気づけたりします。
圃場やハウスから離れていても、温湿度、日射量、風速、CO₂濃度等のデータを確認することが可能です。
環境制御を行えるシステムであればハウスの環境を設定した温度や湿度に保ってくれるため、
収量の安定・増加、作物の高品質化も期待できます。
また、取得したデータをAIで分析し収穫量を予測するなど、更なる活用の可能性もあります。
おすすめな人
複数の圃場や離れた圃場で農業をしている人
施設栽培を行っている人
導入費用
環境制御付き:100万円~
モニタリングのみ:2万円~
2. 水管理システム
主に水田の水位・水温等をセンサーで自動測定するシステムで、
スマートフォン等でどこでもデータを確認できます。
自動で水位の調整を行える製品を導入すれば、圃場に向かわずとも水田の管理が可能です。
水位が下がるなどの異常を検知した場合は通知が送られるので、
何かあった場合の対応をする際にも役立ちます。
おすすめな人
水田の水管理を省力化したい人
導入費用
3万円~
3.経営・生産管理システム
パソコンやスマートフォンにソフトウェアやアプリケーションを入れて、
データ管理を行うこともスマート農業の一種です。
作業記録をはじめさまざまな営農管理が行えるアプリや、栽培記録を残せるアプリ、
農業専用会計ソフトなど、各分野で利用できるさまざまなサービスが提供されています。
無料で導入できるサービスもあり、有料サービスも比較的安価なので、
スマート農業の中でも導入しやすいジャンルと言えるでしょう。
おすすめな人
圃場や品目ごとの作業実績を記録・確認したい人
栽培計画の改善や収量予測を行いたい人
導入費用
0円~
4.畜産支援システム
畜産農家を支援する製品は多岐にわたります。
家畜の体重や体調を観察・管理したり、行動管理を行ったりする、家畜生体管理を補助する製品から、
繁殖を支援する製品、畜舎の環境管理や清掃を行う製品までさまざまです。
おすすめな人
家畜の体調管理をデータ化したい人
家畜の分娩・繁殖をより安全に、効率的に行いたい人
家畜の行動管理をしたい人 など
5.アシストスーツ
農作業に多い中腰での作業時や重い物を持ち上げる時に、
作業をアシスト(支援)してくれるのがアシストスーツです。
モーターや空気圧、ゴムなどの力で作業を支援し、体への負担を軽減してくれます。
収穫作業や持ち上げ作業など、特定の作業に特化した製品も存在しています。
アシストスーツを使用することで、高齢者や女性など、力の弱い人でも農作業が行いやすくなり、
就農の後押しとなることも期待されています。
おすすめな人
農作業の負担を軽減したい人
長時間同じ姿勢で作業を行う人
導入費用
2万円~
6.自動支援ロボット
ドローン
小型化や安定走行技術が急速に進むドローンは、農業でも活用が期待されています。
多くのメーカーが機体の性能を向上させている他、
農薬メーカーによるドローンに適した農薬の開発も進んでおり、今後更なる普及が予想されます。
農薬や肥料の散布以外にも、圃場のモニタリングや、播種や受粉、
農作物の運搬や鳥獣害対策などに使用されます。
人力よりも作業時間を短縮できる他、人が入りにくい急傾斜地などでの作業も可能なので、
安全に安定した散布等が行えるのが特徴です。
おすすめな人:作業時間を削減したい人、作業負担を軽減したい人
導入費用:70万円~
ロボット農機・自動操舵システム
ロボット農機は自動走行が可能な農機のことで、
自動操舵システムは農機の操縦を補助するシステムのことです。
どちらも導入により作業の省力化ができる上、
農機の操作に慣れていない人にも作業を任せることができ、効率化につながります。
ロボット農機は高額ですが、1人で2台を同時に走らせることができるものもあり、
特に大規模農家にとっては心強い味方です。
自動操舵システムであれば、既に所持している農機に後付けで使用できる上、
導入費用もぐっと抑えることができます。
リースの活用や複数の農家による共同購入など、個々の農家の負担を分散したり、
各種助成金を利用したりして導入を進めることも戦略の一つです。
おすすめな人:作業時間を削減したい人、作業負担を軽減したい人
導入費用:ロボット農機…1200万円~、自動操舵システム…80万円~
その他の農業ロボット
上記に分類されない、農作業を支援するロボットを紹介します。
自動で収穫時期になった作物の収穫を行うロボットや、
収穫した作物などを運搬するロボットなど、収穫を支援するロボットの他、
自走する草刈り機や、水田の雑草を抑制するロボット、防除を行うロボットなど、
除草・防除を支援するロボットもあります。
作業時間を削減するのはもちろん、
人が入りにくい場所、作業をしにくい場所で作業してくれるものもあり、
大きな負担軽減となることが期待されています。
おすすめな人:作業時間を削減したい人、圃場やハウスに作業しにくい場所がある人
スマート農業導入で変わる農業
大規模農家にはもちろん、ノウハウのない新規就農者にとっても心強い味方であるスマート農業。
うまく取り入れることにより、作業の省力化や効率化が期待できます。
なりたい姿や目指す経営の形に合わせ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
高齢化や担い手不足により、先行きが不安視される日本の農業。これらの課題の解決策となり得るのがスマート農業です。
今までのやり方では立ち行かなくなってしまうのなら、新たな技術をもって継続の道を探るべきでしょう。

