アパートやマンションでもできる家庭菜園「ベランダ菜園」の魅力とは?
ベランダの空きスペースや陽当たりのいい窓際を使うベランダ菜園は小さい規模からスタートできます。プランターやスコップ、じょうろなど最低限のアイテムを揃え、ホームセンターで苗や種を購入すれば菜園生活を楽しめます!ここでは、筆者が思う、家庭菜園の魅力を紹介していきます。
初心者でも気軽に始められる
畑を耕して始める本格的な家庭菜園に比べ、プランターなどで気軽にスタートできるのがベランダ菜園の魅力。ホームセンターに行けば丈夫な苗が簡単に手に入ります。最近ではプランターを使わない袋栽培や土を使わない水耕栽培の人気も高まっています。
野菜が育つ様子を間近で観察できる
野菜が育つスピードは思いのほか早く、太陽の光を浴びてグングン成長していく様子を間近で感じられる喜びが、ベランダ菜園にはあります。花が咲いたり育っていく過程を観察するのはストレス解消や食育にもつながるので、子育て世帯にもおすすめです。
レイアウトを工夫すればおしゃれに楽しめる
ベランダという限られたスペースを最大限に活用できるよう、あれこれ工夫するのもベランダ菜園の醍醐味のひとつ。レイアウトやアイテムの工夫で、よりおしゃれに楽しめます。便利でおしゃれな菜園アイテムは100円ショップでも見つけることができますよ。
ベランダ菜園に必要な道具とは?欠かせない7つの基本セット
「ベランダ菜園を始めよう!」と思い立ったら、まずは下記7つのアイテムを準備しましょう。いずれも最寄りのホームセンターや100円ショップ、インターネットなどで簡単に揃えられますよ!
1.プランター
はじめてのプランター選びは大きめで深さもあるタイプがオススメです。大きいほうが水やりを忘れて枯れさせてしまうリスクが減りますし、根菜類は深いプランターのほうが立派に育ちます。
2.培養土
ホームセンターはもちろん、スーパーやドラッグストアでも購入できます。初心者のうちは基本の土や植え付けに必要な肥料が混ぜ込んである「野菜用の培養土」を選ぶと安心です。
3.肥料
肥料にもさまざまな種類がありますが、最初に揃えておきたいのが「液肥」と「追肥用の肥料」の2つ。水耕栽培にチャレンジする場合は水耕栽培専用の肥料もご用意ください。
4.鉢底石
野菜の根腐れ予防のため、プランターの底に「鉢底石(はちそこいし)」を敷いて排水性や通気性を良くします。レンガや瓦、素焼き植木鉢のかけらなどでも代用可能です。
5.軍手
ベランダ菜園でも土や野菜に触れるので軍手が必須。スコップや鋏による怪我の防止にもなります。爪の間に土が入るのを防ぐため、指先がラバー加工された軍手もあります。
6.スコップ
プランターに合ったサイズのスコップを選んでください。細かな作業がしやすい先細のタイプと土がこぼれにくい深型のタイプ、両方のスコップを揃えておくと作業が捗ります。
7.じょうろ
ベランダ菜園では水やりがとっても大切。ほぼ毎日使うアイテムなので、ぜひお気に入りのじょうろを選んでください。液肥の調合がしやすい目盛り付きのじょうろもおすすめです。
野菜の種類に応じて支柱やネットも準備しよう
なすやトマト、ピーマンなど、上に伸びて実をつける野菜には支柱が必要。きゅうりやゴーヤ、さやえんどうなど、つる状に伸びる野菜にはネットが必要です。固定するための誘引テープなども必要で、その多くは100円ショップでも揃うので上手に活用してください。
ベランダ菜園はプランター選びがカギ!選び方のポイントとは?
プランターがあればベランダ菜園をスタートできますが、育ててみたい野菜に合ったプランター選びが実は肝心です。プランター選びのポイントをまとめましたので、さっそく見ていきましょう!
サイズと種類を知る
プランターにはさまざまなサイズや種類があります。畑に比べると土の量が圧倒的に少なく、温度管理も安定しにくいベランダ菜園では、育てたい野菜に合ったプランター選びがとても大切。野菜によっては、成長に応じてプランターを変えることも必要です。
プランターの深さには浅型、中型、深型の3種類があり、形は丸や四角などがあります。壁にかけるタイプのプランターもありますよ。
素材ごとにメリット・デメリットがある
プランターの素材にはプラスチック、木材、素焼き(テラコッタ)、陶器、発泡スチロールなどがあります。プラスチックは軽量かつ安価で実用性が高く、サイズや形状のバリエーションも豊富ですが、通気性が無く高級感に乏しいといったデメリットも。
木材や素焼きの素材は通気性がある一方で濡れると重くなり、割れたり壊れやすいといったデメリットがあります。陶器は高級感が生まれますが価格が高め。発泡スチロールは断熱効果によって温度管理が行いやすい一方で、耐久性に課題が残ります。
野菜ごとに最適なプランターが異なる
ベランダ菜園で育てる野菜には“葉もの”や“実もの”、“根菜”などがあります。葉ものは浅めのプランターで育てやすいものが比較的多く、根をしっかり張らせる必要がある実ものや、根そのものを食べる根菜は深く、大きなプランターが適している場合が多いと言えます。根を張る深さも野菜ごとに異なるため、育てたい野菜に合ったプランターをインターネットなどで調べて選ぶのがおすすめです。
ベランダ菜園を始める前に!事前に確認したい注意点7つ
ベランダはマンション共用部分のため、ベランダ菜園を始める前に“マンションの管理規約”のご確認を。耐荷重や使い方の制限などをチェックしてからスタートしてください。万が一の緊急時に避難経路となるベランダは、消防法によっても利用が制限されています。防災扉や避難梯子を塞ぐことがないよう、十分に注意してください。ここからは、ベランダ菜園を始めるにあたって、注意すべきことを解説していきます。
1.アパートやマンションの規約
ベランダはマンションの「共用部分」となります。トラブルに発展しないよう、ベランダ菜園を始める前にはマンション管理規約のご確認を。ベランダの耐荷重や使い方の制限などを必ずチェックしてからスタートしてください。
2.消防法
ベランダは、火事など万が一の緊急時にマンション住人の避難経路となります。消防法によって利用が制限されています。大きなプランターや菜園アイテムで防災扉や避難梯子を塞ぐことがないよう、十分に注意してください。
3.排水・防水
マンションで騒音トラブルとともに多いのが水にまつわるトラブルです。菜園で使う水が階下の迷惑にならないようご注意を。また、土や落ち葉で排水口が詰まることがないよう気をつけてください。
4.プランターの落下防止
ベランダ菜園を始めると、プランターをはじめさまざまな菜園アイテムが増えていきます。ハンギングポット(吊り下げプランター)や放置した菜園アイテムの落下事故が起きないよう対策を行ってください。
5.日当たり
おいしい野菜を育てるためには、日当たりも重要です。十分な太陽光が入る環境で菜園を楽しみましょう。ギラギラとした直射日光を嫌う野菜もあるので、環境に合った野菜選びも大切です。
6.風通し
風通しが悪くジメジメした環境での栽培は病気や害虫のリスクが高まり、野菜の育ち方にも影響が生まれます。特に初心者のうちは風通しの良い明るい場所での栽培を心がけてください。
7.防虫・防臭
有機肥料を使う場合、強いニオイや虫の発生などが予想され、扱いが難しい一面もあります。ニオイや虫は近隣トラブルになりやすいため、はじめは化成肥料と上手に付き合うほうが安心です。
ベランダ菜園におすすめの野菜は【季節別5選】
野菜を植えるタイミングは種類や品種によって異なります。はじめてのベランダ菜園におすすめの野菜を季節別に紹介します。
春におすすめの野菜5選
寒い冬を越え、日々暖かくなっていく春。さまざまな野菜の植え付けに適した時期になります。
葉ネギ
ベランダ菜園初心者に最適なのが葉ネギです。ベランダはもちろん、明るい窓際でも簡単に育てられます。上手に育てれば数年間は楽しめますし、ハイドロボールを使った水耕栽培でも育ちます。
大葉
葉ネギと並んでおすすめなのが大葉です。ホームセンターで苗を買ってきてもいいですし、種からも育てることが可能。半日陰でも元気に育ちますが、ハダニやアブラムシには注意してください。
リーフレタス
リーフレタスも初心者にやさしい葉もの野菜です。最近では水耕栽培も人気。細長い種から芽が出てすくすくと育っていく様子と、ビタミンカラーに癒されます。サンチュなどと一緒に育てるのもおすすめです。
さやえんどう
支柱やネットに沿ってグングン育っていくさやえんどう。可憐な花を楽しんだあとに、さやが実っていく様子を観察できます。横長のプランターで上手に育てると意外とたくさん収穫できます♪
ディル
スーパーだとけっこう高価なディルですが、比較的簡単に育てられるハーブです。鯛のカルパッチョなど白身のお魚と合わせると独特の香りと酸味を存分に楽しめます。小さな黄色い花も綺麗ですよ。
夏におすすめの野菜5選
グングン成長する夏野菜は、育てる楽しみもたっぷり。水だけは欠かさないように注意して見守ってあげてください。
バジル
直射日光がギラギラ当たって、実は過酷な夏のベランダ。そんな夏の強い光を受け止めて元気に育つのがバジルの長所です。プランターで育てると、料理しやすいやわらかめの葉になります。
ピーマン
過酷な夏のベランダ環境でも育てやすい夏野菜がピーマンです。上手に育てると、夏から秋まで長期にわたって収穫できます。病気や害虫にも比較的強いので、ぜひチャレンジしてください!
ミニトマト
人気の薄皮ミニトマトをはじめ、種類が非常に多いのが特徴です。しっかり根が張るよう、できるだけ大きなプランターを使って、実がはじけないよう雨があたらない場所での栽培がおすすめです。
ゴーヤ
夏のグリーンカーテンとしても人気のゴーヤは、育てやすい野菜のひとつ。暑さに加え乾燥にも病気にも強く、食物繊維やカリウム、葉酸、ビタミンCといった豊富な栄養素が含まれています。
オクラ
人気が高まっているオクラ。アフリカ原産の野菜なので暑さに強いのが特徴です。また、オクラは珍しいアオイ科の野菜で、連作障害を気にせず植えやすいというメリットがあります。
秋におすすめの野菜5選
秋に植え付ける野菜も多種多彩。また、秋に収穫を迎える野菜もあるので、育てる喜びと食べる喜びの両方を楽しめます。
春菊
秋に春菊の苗を植えておけば、お鍋のシーズンにシャキシャキの春菊が気軽に食べられます。実は栄養満点な春菊。βカロテン、ビタミンC、カルシウム、鉄分、葉酸などが含まれます。
水菜
京野菜としても有名な水菜。種から植えれば、ベビーリーフ、間引き菜、小株、大株とさまざまなサイズを楽しめます。育てやすくやわらかな食感になる秋まき水菜が特におすすめです。
小松菜
比較的冷涼な気候を好む小松菜。春と秋に植える、家庭菜園初心者にも人気の葉もの野菜です。秋植えは害虫が付きにくく、寒くなると甘みがのり、栄養価も高くなると言われています。
ラディッシュ
食卓を彩るラディッシュもプランターで育てやすい野菜のひとつ。種まきしてから1月程度で収穫できるスピード感も人気の秘密です。少し大きめのプランターのほうがしっかり育ちます。
サツマイモ
春に植え、秋に収穫できるサツマイモ。培養土の袋にそのまま植えてしまう袋栽培が可能です。夏場にどんどん成長するツルが枯れてきた頃が収穫どき。ベランダでもワクワクを楽しめます。
冬におすすめの野菜5選
冬の寒さに負けないばかりか、寒くなるにつれて糖度や旨味も増す野菜もあります。冬もぜひチャレンジしてください。
白菜
冬野菜の代表格が白菜です。ベランダでのプランター栽培では巻かない(結球しない)タイプも人気。できるだけ大きなプランターを用意するのがうまく育てるコツのひとつです。
大根
大根はプランターや袋栽培で育てられます。根菜なのでできる限り深いプランターを用意してください。ミニ大根やカラフルな大根も人気。大根の葉っぱも料理に活用できますよ。
にんじん
にんじんにはさまざまな種類があり、種まきの最適期もいろいろ。夏の終わりから栽培をスタートすると冬場が収穫期となります。間引いた小ぶりのにんじんも炒め物などでおいしく召し上がれます。
ほうれん草
ほうれん草の旬は12月〜1月ごろ。寒くなると甘さが増すと言われています。ほうれん草はアルカリ性の土を好むため、培養土に石灰を混ぜて2週間ほどおいてからの種まきがおすすめです。
玉ねぎ
玉ねぎは大きめのプランターで育てるのがコツ。栽培期間は長めですが、病気や害虫に比較的強く育てやすい野菜です。芽が出た玉ねぎの再生栽培にチャレンジするのも楽しいですよ。
【番外編】病気や虫に強いにおすすめ野菜5選
ベランダ野菜の大敵と言えば、病気や害虫。これらに強い野菜ということは、その分育てやすいと言えます。ベランダ菜園初心者でもラクに、上手に育てられる野菜やハーブをピックアップしました!
パセリ
料理の添え物や香り付けなど、なにかと便利なのがパセリです。上手に育てれば冬越しも可能。パセリ栽培の歴史は古く、古代ギリシャでは紀元前 3〜4 世紀頃から行われていたようです。
ニラ
長期にわたってプランター栽培を楽しめるニラ。年に3回〜4回収穫でき、根を残しておけば4〜5年にわたって栽培できます。採れたてのニラは香りが高く、食感もシャキシャキです。
ベビーリーフ
ベランダ菜園や窓際菜園の初心者に人気のベビーリーフ。プランター栽培でも水耕栽培でも簡単に栽培できます。さまざまなメーカーから多様な種類が販売されているのも魅力のひとつです。
ローズマリー
さまざまなハーブの中でも初心者におすすめなのがローズマリー。乾燥や病気に強く、年間を通して料理に活用いただけます。肉類やポテトに合わせると独特の香りを生かせます。
ミント
ミントの魅力はとにかくタフなところ。水やりを忘れて枯れかけても、大事に育てれば復活してくれます。ミントにはリラックス効果があり、お肌の調子やむくみ対策にもなります。
興味をもったら、ベランダ菜園に今すぐチャレンジ!
ここまで、簡単に始められるベランダ菜園の魅力やコツをご紹介してきましたが、いかがでしたか?もし興味を持ったら、ぜひお近くのホームセンターや100円ショップに赴いて、ベランダ菜園7つの基本セットと気に入った野菜の苗や種を購入して、さっそくチャレンジしてみてください。
土や自然と触れ合う楽しさを再認識して、育っていく野菜のスピードに驚いて、収穫の喜びを実感して、採れたて野菜のおいしさを存分に味わってくださいね!